活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。


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2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生


2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生

満足度★★★★
付箋数:26

オトバンクの上田さんから献本頂きました。
ありがとうございます。

なんか、とてつもない本に出会ってしまった。
それが本書を読み始めて思ったことです。

  「本書は、1989年から2018年の30年間を
  描いた『分断した世界』の後編である。
  世界の未来予測を仕事とする者を訪ね、
  彼らとの対話を重ね、2020年から2049年
  までの30年の未来を予測した。
  第1章では、迫り来る “宇宙変動” について。
  第2章では、今後30年のメインプレイヤー
  となる国家について。そして第3章では、
  日本の未来に加えて、ポスト国家としての
   “個人” と “人類の未来” に焦点を
  定めている。
  分断した世界は、再び統合するのだろうか?
  そして、人類の未来は、どこに向かう
  のだろうか?
  これから “未来への旅路” を、皆さんと
  ご一緒したい。」

本書は、高城剛さんが、足掛け5年の歳月
をかけて書いた、未来予測の本です。

かつてハイパーメディアクリエイター
という肩書を、高城さんは名乗っていま
したが、それも過去のものとなりました。

最近では、未来予測が仕事なの?
と思えるような活躍ぶりです。

高城さんの強みは、机上の空論ではなく、
実際に世界中を飛び回って、現場を見て
まわっていることです。

本書では、世界中のフューチャリストに
直接会って話を聞き、データが指し示す
現地に赴き、肌感覚を加えています。

だからこそ、常識では考えられない
未来予測でも、リアルで説得力のある
言葉として、伝わってきます。

本書の最初で、予測するのは地球の
気候変動について。

世間では、「地球温暖化」の危機が、
叫ばれています。

  「ここ数年、日本では夏に耐えがたい
  ほどの猛暑が続き、ゲリラ豪雨が多発
  する。まるで熱帯雨林気候のようで、
   “地球は温暖化しているのだな” と
  感じている人は決して少なくない
  だろう。
  だが、事実は違う。いま、地球は
  短期ではあるが、寒冷化に向かって
  いるという説が急浮上している。」

高城さんが会って話を聞いたのは、
英イーサンブリア大の天文物理学者の
ヴァレンチナ・ザルコヴァ教授です。

ザルコヴァ教授によると、温室効果ガス
の影響もなくはないですが、それは
「太陽」がもたらす地球への影響に
比べると、非常に小さなもののようです。

地球は太陽が放出するエネルギーを受け、
特に、「黒点」の数によって気候が
変わります。

その黒点が数十年単位で見ると、
減少して、太陽の活動が低下します。

その影響で、2020年頃から地球は
寒くなり、その寒冷のピークは
2030年代に訪れるというのが、
ザルコヴァ教授の予測です。

ところで、北極圏の氷が解け出している
というニュースはどうなのでしょうか?

これ2012年にグリーランド北部で起きた
ニュースですが、その続報があります。

実は、2013年には氷は元に戻った
そうですが、そのことは全く報道され
ませんでした。

高城さんは、この地球環境の変化を
念頭に置きながら、アメリカ、中国、
インド、EU、そして日本について分析し、
その未来の姿を描き出します。

その結果、導かれた答えが、
本書のタイトルにもなっている
「2049年に日本がEUに加盟する」
という、衝撃的な結論です。

ただし、個人的には、今でもEUへの
加入基準を満たしていない日本が、
30年先にそれを満たしていることは、
ちょっと考えにくかったですね。

それはさておき、日本が生き残るには、
EUに加入するしか道がないと、
高城さんは述べています。

実現性はともかく、唯一無二の未来予測
をする高城さんの本は、読んでいて、
非常に面白い。

読むの価値のある本だと思います。

この本から何を活かすか?

本書では、アリババ・グループが提供する
決済サービス「アリペイ」が世界を支配する
可能性についても言及しています。

利用者がアリペイを使うと「芝麻信用」
という評価システムのスコアが上がり、
数々の恩恵を受けられるようになります。

「信用度」をスコア化している芝麻信用は、
私も注目しているシステムです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ


NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ

満足度★★★★
付箋数:26

あなたは、ニューパワーか?
それとも、オールドパワーか?

本書は、今、世の中で起こっている
新たしい「潮流」を説明する本です。

「ニューパワーVSオールドパワー」という
対立概念を使って読み解きます。

まずは、患者と医者の実話を1つ紹介します。

医師はコンピューターから目を上げ、
怪訝な顔で言いました。

 「いったいどこでそんな言葉を覚えた
 んです? 医師の使う専門用語ですよ。
 あなた、医学部にでも通ったんですか?
 これ以上、余計なことをネットで調べる
 つもりなら、もうあなたのことは
 患者として診れません」

それまで女性患者は、自分の症状に対して、
「ぼーっとする」という表現を使って
いました。

しかし、この日、患者は自分の身に起きた
のは「二次性全身性強直間代発作」だと
思う、と医師に伝えました。

この病名が医師の気に障ったのです。

この患者が自分の症状について調べたのは
「ペイシェンツ・ライク・ミー」という
オンライン患者コミュニティでした。

このサイトは、会員数が50万人超、
疾病の種類は2700以上にもなっていて、
素人でも専門知識を活用できる
巨大なコミュニティです。

医師はオールドパワーの作用する世界で
生きています。

専門知識を習得するために、厳しい訓練を
積み重ねてきました。

しかし、彼らは医学知識を独占するのに
慣れてしまいました。

難解な専門用語を操り、一般人には
理解不能な処方箋を書いているうちに、
患者から遠ざかってしまったのです。

一方、患者はニューパワーを発見しました。

自分の症状を改善するために、
個人のデータを共有し、意見交換し、
励まし合いました。

ときには、医学論文を紹介し合い、
クライドソーシングで治験まで実施する
ようになったのです。

患者はオールドパワーで閉ざされていた
世界で、ニューパワーを手に入れたのです。

  「本書のテーマは、2つの大きな力の
  せめぎ合いと均衡を特徴とする世界に
  おいて、しっかりと歩を進め、
  たくましく成長するための方法を
  探ることだ。その2つの力を、
   “オールドパワー” と “ニューパワー” 
  と呼ぼう。」

オールドパワーは、貨幣(カレンシー)
に似ています。

少数の人が力を握り、リーダー主導型。

また、ダウンロード型で閉鎖的な
特徴を持ちます。

一方、ニューパワーは潮流(カレント)
に似ています。

その力は多くの人によって生み出され、
仲間主導型です。

また、アップロード型で開放的な
特徴を持っています。

本書では「価値観」と「ビジネスモデル」
の2軸マトリックスで、現在の企業や組織、
リーダーがどこに位置するかを示しながら
その概念を説明します。

そして、ニューパワー使い方を伝授する
ことを最終的な目的としています。

・どうすれば大勢の人が飛びつき、
 盛り上げ、拡散してくれるアイディアを
 生み出せるのか?

・集団との結びつきがますますゆるく
 一時的になっていく時代に、どうすれば
 大勢の人が長く所属したがる場を
 つくれるのか?

・新旧のパワーをどのように使い分け、
 どんなときに両方を組み合わせるべきか?

・オールドパワーのほうがよい結果を
 もたらすのは、そんなケースか?

本書では、世界を大きく変えている
パワーシフトの全容が、非常にわかりやく
解説されています。

読む価値のある、非常に良い本でした。

この本から何を活かすか?

本書の主張は、オールドパワーが完全に
廃れ、ニューパワーに取って代わられる
というものではありません。

実は、オールドとニューの2つのパワーの
ブレンドが凄まじい力を生むとしています。

ですから、私たちに求められているのは、
新旧2つのパワーのスキルを身につける
ことなのです。

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| 社会・国家・国際情勢 | 05:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ハッキリ言わせていただきます! 黙って見過ごすわけにはいかない日本の問題


ハッキリ言わせていただきます! 黙って見過ごすわけにはいかない日本の問題 (単行本)

満足度★★★
付箋数:23

オトバンクの上田さんに献本いただきました。
ありがとうございます。

この問題、誰も声をあげていないけど、
このままだったらマズイんじゃないの?

本書は、そんな日本の見過ごすわけには
いかない問題について対談した本です。

対談したのは、元文部科学事務次官で
面従腹背』などの著書で知られる
前川喜平さん。

それと、大阪国際大学准教授でTBS系
「サンデーモーニング」等にコメンテーター
とし出演する、谷口真由美さんです。

お二人は、2018年3月に放送された
ABCラジオの特別番組で一緒になり、
意気投合して、今回の対談に至ったようです。

まず、最初に谷口さんが言及しているのが、
日本人の批判が下手な点について。

なかなか、好き嫌いの感情に左右されずに
批判することができないと。

社会はいろいろな角度から見て議論
するからこそ良くなっていきます。

そのために必要なのが、健全な批判力。

そこで、谷口さんは、本書の冒頭で、
「批判のお作法 5か条」を示しています。

 第1条 批判されてもキレない

 第2条 批判は「事象」「事柄」「発言」
    などについてすべし。
    人間性への攻撃はNG。

 第3条 批判は「事実」に基づいてすべし。
    根拠のない思い込みや固定観念はNG。

 第4条 批判は「愛」が必要。
    その先に「よりよくなる○○」
    (○○には社会、会社、学校、地域
    など)があるべし。
    うっぷん晴らしはNG。

 第5条 批判には「責任」がともなうべし。
    公益通報などの匿名性は守らなけ
    ればならないが、安全地帯からの
    匿名での言いたい放題はNG。

確かに、ここで挙げられている5か条は、
批判する際にはもちろんですが、
議論するときには必要なマナーだと思います。

健全な批判ができないと、言われたことを
そのままやってしまう思考停止の状態に
陥ってしまいます。

では、なぜ日本人には批判的精神が
足りなくなっているのでしょうか?

前川さんは、その理由を次のように考えます。

  「やはり、お上意識が、本来の批判という
  ものを成り立たせなくしているひとつの
  原因でしょうね。お上がお決めになること
  なのだから、それについて文句を言っては
  いけない、という。」

そういった、お上意識を植え付けているのが、
日本の教育制度だということで、お二人は、
熱い議論を交わしています。

この教育をテーマにしたところが、
文部科学省にいた前川さんと、娘を持つ
母親としての谷口さんの、まったく異なる
立場でありながら、議論が噛み合っていて
面白いところです。

教育の主な担い手である学校の先生が、
自分たちが虐待されているから、
そのぶん生徒を虐待する負の連鎖が
起こりかねないとの指摘もありました。

教員免許更新制度で、お上の言うこと聞く
教師をつくり、その教師がお上の言うこと
を無批判で聞く生徒をつくり上げる。

日本の教育の現場では、実際にこの連鎖が
起こっている印象があります。

本書では、教育だけにとどまらず、
政治、憲法など広い範囲に話が渡り、
お二人は議論を深めています。

脚注の解説が充実していたので、
個人的には自分の足りない知識を補え、
議論を理解する上で助かりました。

対談本としては、結構、ガッチリめの
中身の濃い内容の本だと思います。

ただ、お二人の発言には迫力がありますが、
だからと言って、すべて鵜呑みにせず、
「それは本当に正しいのか?」と
考えながら読みたいところです。

クリティカルシンキング(批判的思考)を
鍛えるには、丁度よい教材になると思います。

この本から何を活かすか?

個人的には「ラグビー」を通じて取り組む
人権や平和問題という視点が新鮮でした。

元ラグビー日本代表監督、早稲田大学
ラグビー部の監督だった大西鐡之祐さんは、
次のような言葉を残しているそうです。

  「ラグビーをする若者よ。
  君たちはなぜ、ラグビーをするのか。
  戦争をしないためだ。」

大西さんの著書、
闘争の倫理 スポーツの本源を問う
も読んでみたいと思います。

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| 社会・国家・国際情勢 | 05:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣


FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

満足度★★★★★
付箋数:29

本当なら、余計なことを言わずに、
「この本読んでみて」と、多くの人に
本書を手渡したいところです。

本書は、それぐらい素晴らしい本でした。

しかし、私が手渡せる範囲は限られていて、
妻に「とにかく読んで」と勧めた程度です。

ただ、世の中には、本書を配ることを
実際にやった人がいます。

それは、ビル・ゲイツさん。

ゲイツさんは、2018年にアメリカの大学を
卒業した学生のうち、希望者全員に、
この本をプレゼントしたといいます。

さて、本書のタイトルとなっている
「ファクトフルネス」とは、データや事実に
基づき、世界を読み解く習慣を持つこと。

本書を読むと、私たちはとんでもなく、
世界について誤解していることがわかります。

本書では、冒頭で世界の事実に関する
13問のクイズが出題されます。

ここでは3問ほど、紹介しましょう。

 質問1
  現在、低所得国に暮らす女子の何割が、
  初等教育を修了するでしょう?
   A 20%
   B 40%
   C 60%

 質問3
  世界の人口のうち、極度の貧困にある人の
  割合は、過去20年でどう変わったでしょう?
   A 約2倍になった
   B あまり変わっていない
   C 半分になった

 質問9
  世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に
  対して予防接種を受けている子供は
  どれくらいいるでしょう?
   A 20%
   B 50%
   C 80%

本書を読んでいない限り、答えを正確に
知っている人は稀だと思います。

そのため、ほとんどの人は、
「多分これくらいだろう」という
イメージで答えることになります。

このクイズ、世界14カ国で1万2000人に
出題されたそうですが、全問正解者は
出ませんでした。

平均正解数は、たったの「2問」。

最も多かったのは、わずか「1問」
だけの正解者です。

  「このクイズには多くの人が間違える。
  どれほど優秀な人でもだ。
  ここ数十年間、わたしは何千人もの人々に、
  世界の事実について数百個以上の質問を
  してきた。貧困、富、人口、出生、
  死亡、教育、保健、ジェンダー、暴力、
  エネルギー、環境など。どれも世界を
  取り巻く状況の変化にまつわる質問だ。
  複雑な質問や、ひっかけ問題はひとつも
  ない。それなのに、まともに正解できる
  人はほとんどいない。」

質問はすべて3択なので、問題を読まずに、
鉛筆を転がして答えを選んでも、
大数の法則が働けば、正答率は33.3%に
近づきます。

ですから勘で答えても確率的には、
4問ぐらいは当たるはず。

しかし、実際はそれより遥かに低い
正答率になっています。

事実、本書ではチンパンジーに、
このクイズをやらせると、4問は正解する
と書かれています。

チンパンジーに勝てる人は、わずか10%。

なぜ、私たちはランダムに答えを選ぶ
チンパンジーに負けてしまうのか?

それは、事実やデータに基づいて、
世界を見る習慣がないから。

しかも、私たちは10個の強烈な
思い込みに囚われているため、
事実が歪んで見えてしまうのです。

例えばその1つは、私たちはつい、
「ドラマチックすぎる世界の見方」を
してしまうというもの。

  「ほかの本と違い、この本にあるデータ
  はあなたを癒やしてくれる。この本から
  学べることは、あなたの心を穏やかに
  してくれる。世界はあなたが思うほど
  ドラマチックではないからだ。」

本書の著者、ハンス・ロスリングさんは、
残念ながら、2017年2月に亡くなりました。

本書は、息子のオーラ・ロスリングさんと
その奥さんアンナさんで完成させたものです。

本能として染み込んでいる、思い込みを
なくし、ファクトフルネスを身につける
ために、是非、読んで欲しい本です。

この本から何を活かすか?

私たちが、囚われている思い込みは、
以下の通りです。

 1. 世界は分断されている
 2. 世界はどんどん悪くなっている
 3. 世界の人口はひたすら増え続ける
 4. 危険でないことを恐ろしいと考える
 5. 目の前の数字がいちばん重要だ
 6. ひとつの例がすべてに当てはまる
 7. ずべてはあらかじめ決まっている
 8. 世界はひとつの切り口で理解できる
 9. 誰かを責めれば物事は解決する
 10. いますぐ手を打たないと大変な
    ことになる

本書では、これらの思い込みを捨て、
ファクトフルネスになるための
大まかなルールも示しています。

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| 社会・国家・国際情勢 | 05:59 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義


日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義

満足度★★★★★
付箋数:29

これまでもデービッド・アトキンソンさんの
デービッド・アトキンソン 新・観光立国論
などでは、非常に斬新な指摘がありました。

しかし、本書はそれら過去の著作を超えて、
アトキンソンさんの最高傑作と言える
本だと思いました。

私は、本書を読んで、何度、目から鱗が
鱗落ちたかわかりません。

  「日本には今、大きなパラダイムシフトが
  訪れています。(中略)
  パラダイムシフトの原因は、人口減少と
  高齢化です。日本では、こらから、人類史上
  いまだかつてない急激なスピードと規模で、
  人口減少と高齢化が進みます。」

さすがに、ほとんどの日本人はこの2つの
問題が訪れていることは知っています。

しかし、その深刻度はあまり認識されて
いないように感じます。

実際、どの程度、日本の人口は減るのか?

2060年までに、世界全体で人口は36.1%
「増加」すると予測されています。

アメリカは25.2%増、日本を除くG7でも、
14.9%の増加です。

これに対して日本の人口は、驚くべきことに、
「32.1%の減少」です。

しかし、日本の経済モデルは今でも
人口増加モデルがベースになっています。

例えば、「いいものをより安く」は、
そもそも人口増加を前提にしないと
成り立たない経営戦略です。

では、人口減少と高齢化のパラダイムシフトに
どのように対処したらいいのでしょうか?

アトキンソンさんが本書で示した処方箋は、
「最低賃金の引き上げ」というものでした。

これだけ聞くと、なぜ?と思うかもしれません。

しかし、本書のロジックはしっかりしていて、
それを証明するデータも揃っています。

人口が少なくなっても、経済を縮小させない
ためには、高付加価値・高所得経済への
転換が必要です。

そのために避けて通れないのは、
日本人の「生産性が低い」問題です。

これは、アトキンソンさん以外の識者からも、
ずっと指摘されていることですね。

この生産性問題の原因の1つが、日本には
小さな企業が多すぎるという現実です。

実は、20人未満の企業に勤める人の割合と
その国の生産性には強い相関があるようです。

そこで、「最低賃金の引き上げ」。

小さな企業のままでは賃上げはできないので、
企業の統廃合は進みます。

そして、継続的な賃上げが、生産性の向上に
つながります。

最低賃金の引き上げが望ましい理由は6つ。

 1. もっとも生産性の低い企業をターゲット
  にできる
 2. 効果は上に波及する
 3. 消費への影響が大きい
 4. 雇用を増やすことも可能
 5. 労働組合の弱体化
 6. 生産性向上を「強制」できる

最低賃金を引き上げると、失業者が増えると
懸念する人もいますが、これも誤った認識
であることが本書で示されています。

そして、最低賃金の引き上げとセットで
提言されているのが、人材育成トレーニング
の強制化です。

賃上げに見合うだけの中身も要求される
ということです。

  「まずは所得を継続的に上げることです。
  その結果、生産性が上がります。
  それには企業の規模を大きくする必要がある。
  それによって輸出もできるようになる。
  技術の普及も進む。所得が増えるから、
  税収が増える。株価も上がる。
  財政が健全化する。
  要するに、今の悪循環を好循環に変える
  ことができるのです。」

これこそが、日本が再び世界で輝くための
「勝算」です。

ただし、この勝算に乗るためには、
まずは人口減少という問題を直視する
ことから始めなくてはなりません。

アトキンソンさんが示す生存戦略は、
非常に理にかなっていて、すべての日本人に
本書を読んで欲しいと感じました。

この本から何を活かすか?

日本では「人手不足」の問題をよく聞きます。

しかし、先進国では「人手不足」という
概念はすでになくなっていると言います。

日本で言う、「人手不足」はあくまでも、
「人を安く使う今までの経済システムを
維持したい」という前提があります。

その前提で、人口が減るから人が足りない
と言っているに過ぎないのです。

人が足りないなら、人を効果的に使う
仕組みを作ればいいと、アトキンソンさんは
指摘しています。

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| 社会・国家・国際情勢 | 06:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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