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地球最後の日のための種子

地球最後の日のための種子
地球最後の日のための種子
(2010/08/26)
スーザン・ドウォーキン 商品詳細を見る

満足度★★★★
付箋数:27

  「種子が消えれば、食べ物が消える。そして君も」。

本書は、かつてタイム誌によって、
「人々の日々の生活にとっては、
ほとんどの国家元首より重要な人物である」と評された、
デンマーク人植物学者ベント・スコウマンさんの
苦闘を描く科学ノンフィクション。

スコウマンさんは、国際トウモロコシ・コムギ改良センター
(CIMMIT)やノルウェーのジーンバンクに所属し、
世界の辺境をめぐり、無数の作物の種子を集めることで
植物の多様性を守り抜こうとしました。

ちなみに、ノルウェーのジーンバンクは、
通称doomsday vault(地球最後の日のための貯蔵庫)と呼ばれています。

ところで、なぜ、作物の多様性を守る必要があるのか?

例えば、品種改良によって、同じ面積当たりの2倍の収穫量の
ある小麦の品種が作られたとします。

すると、どの農家もその品種を植えたがり、
極端に言うと、世界中の小麦が同一品種で作られることになります。

しかし、世界中の小麦畑がその品種一色に染まったときに、
その品種が抵抗を持たない病原体が出現したらどうなるか?

そんな悪夢のような危機を救う唯一の手立てが、
多種多様の種を集めたシードバンクやジーンバンクなのです。

アメリカには、こんな逸話があるそうです。

1948年、米植物収集家ジャック・ハーランさんが
標本収集のために、トルコに遠征しました。

その時集めた小麦の一つに、みじめな姿で、簡単に倒伏し、
赤さび病や冬の寒さに弱い、保存するに値しないと思われる
品種があったそうです。

それでもついでに、「PI 178383号」と名前がつけられ、
アメリカの遺伝子コレクションに追加されました。

その15年後、アメリカを手痛い黄さび病が襲い、
育種家たちはこの病害への抵抗性を持つ資源を必死に探しました。

この危機を救ったのが、「PI 178383号」。

非力と思われた小麦は、黄さび病以外にも他の病害に対する
抵抗性を備えていて、「PI 178383号」の持つ抵抗遺伝子は、
現在アメリカ太平洋沿岸北西部で栽培される
小麦のほぼすべての系統に組み込まれているそうです。

つまり、「どんな種でも集めて、ひとつ残らず保存すべし」が、
人類を食糧危機から救う方法なのです。

本書の主役である、スコウマンさんは2007年2月に逝去されました。

「世界を飢えから救う」という理想を掲げ、
いかなる困難をも乗り越えて、計画を実現させたスコウマンさん。

折りしも、2010年10月現在、COP10開催中ですから、
ぜひこの機会に本書をお読みください。
読んで損のない、質の高いノンフィクションです。

また、本書に登場する日本人科学者の田場佑俊さんや
岩永勝さんの活躍も見逃せません。

この本から何を活かすか?

 「遺伝子組み換え食品」は善か悪か?

日本で暮らす私たちにとっては、
人体にどんな影響を与えるか分からない食品は、
なるべく口に入れたくないものです。

しかし、それを食べなければ飢え死にする
状況であれば、そんなことは言っていられません。

スコウマンさんの目的は、飢餓の撲滅。

たとえ、民間企業が遺伝子組み換え食品によって、
懐を肥やそうとも、飢餓が食い止められるなら、
それを利用するというのが、スコウマンさんの考えです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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