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特捜神話の終焉

特捜神話の終焉
特捜神話の終焉
(2010/07/22)
郷原 信郎 商品詳細を見る
 
満足度★★★
付箋数:18

元東京地検特捜部検事と有罪判決を受けた元被告の対談集。

検事側で本対談のホストを務めるのは、郷原信郎さん。

郷原さんは、2006年に検事を退官した後、
俗に言うヤメ検弁護士として刑事事件を取り扱わず、
コンプライアンスの専門家として活躍する変り種。

検察という組織を、内側からも外側からも、
客観的な視点で見てみきた人物という印象です。

一方、対談のゲストとして向けられるのは、この3人。

1人目は、ライブドア事件で逮捕・起訴された堀江貴文さん。
2010年8月現在、最高裁で係争中。

2人目は、キャッツ事件で逮捕・起訴された細野祐二さん。
細野さんはこの対談後、上告が棄却され有罪判決が確定。

3人目は、鈴木宗男さんと共に外務省から排除された佐藤優さん。
2009年に有罪判決が確定しています。

いずれも最後まで無罪を主張し戦った3人で、
共通しているのは、逮捕あるいは有罪の判決を受けてもなお、
社会から抹殺されるどころか、多方面で活躍しているところです。

特に佐藤さんは、逮捕・起訴があったからこそ、
大ベストセラー「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて
を生むことができ、現在の“佐藤優ブランド”を
構築できたとも言えるほどです。

1人でも十分魅力的で、バイタリティ溢れる面々を揃えて、
綻びが見えている検察をやり玉にあげるわけですから、
この対談が面白くないわけはありません。

  「特捜事件においては、強制捜査着手にあたって
  あらかじめ“ストーリー”が設定され、
  それを前提に捜査を行うことについて、
  最高検察庁も含め、検察組織全体の了承を得る。
  (中略)
  そのターゲットとされる政治家、経済人などの罪が
  “悪党”と理解しやすいストーリーであることが求められる。」

モノを売るには、ストーリーが必要とされる昨今ですが、
検察もストーリーを強力な武器として使っているということ。

特捜は、世間や裁判官を相手に、プレゼンテーションをして、
「有罪」という商品を買ってもらうわけですから、
共感を呼ぶストーリーは欠かせないということでしょうか。

これでは、知らないうちに、そのストーリーの主役に
据えられた方としては、たまったものではありませんね。

この本から何を活かすか?

  「じゃあどうすればよかったんですかね。
  公判でそういう雰囲気に対抗するには。」

これは、最初から有罪と決めてかかっている
裁判所の空気に対しての、堀江さんからの質問です。

それに対し、郷原さんは、村上世彰さんの裁判戦略を絶賛し、
次のように答えます。

  「まず、世の中の雰囲気を変え、法廷の雰囲気も変える
  という演出を考えますね。それに成功したのが、
  村上ファンドの村上世彰氏なんです。
  彼は非常にうまかった。ずるいくらいに、うまかった。」

性格的に村上さんのようにはできない堀江さんですが、
このアドバイスが活かされるかどうか、今後の裁判に注目です。

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