中国貧困絶望工場
2010年02月19日
中国貧困絶望工場 「世界の工場」のカラクリ
(2008/12/11)
アレクサンドラ・ハーニー 商品詳細を見る
満足度★★★★
ここ数年、MADE IN CHINAにおける様々な問題が
クローズアップされています。
しかし、どんな問題が起きようとも、私たちの生活から
中国製品が消えることはありませんでしたし、
今後も欠かすことはできない存在でしょう。
本書はブランド化した「チャイナ・プライス」の
裏側に迫るレポートです。
中国には安い賃金の、豊富な労働力があります。
更に、産業集積効果を高めるために、国が積極的に
インフラを整備することで、世界中から工場を呼び込んでいます。
著者のアレクサンドラ・ハーニーさんは、
元フィナンシャル・タイムズの中国特派員。
中国はチャイナ・プライスを維持するために
いかなる代償を支払っているのか?
本書では、広東省の消費財製造工場に焦点を当て、
そこで働く人々の姿をレポートすることで、
中国の工場の実態をあぶりだします。
そしてその実態は、中国製品にどっぷり漬かっている
私たちにとっても、あまり他人事ではありません。
「結局、中国に責任があるように見えても、
世界中の消費者にも同程度の責任があるということだ。(中略)
チャイナ・プライスの存在には、我々すべてが関係しているのである。」
ただし、本書は単に悲惨さを訴えるだけでなく、
「希望」の光も描いています。
劣悪な環境で働きながらも、決して絶望せず、
新たな動きを作る人々の物語という一面も見逃せません。
邦題は、これでもかというぐらい悲惨さを強調しているので、
中国の工場バッシングの本というイメージを
抱くかもしれませんが、本書は内部から変わろうとしている
中国の変革期を描く優れたルポルタージュとなっています。
インパクトだけを狙った邦題よりも、原題の
「The China Price: The True Cost of Chinese Competitive Advantage」
の方が本書の内容を的確に表現しているように思えます。
この本から何を活かすか?
中国には、本書で指摘されるような脆弱性がまだまだあります。
一方で中国経済は、間違いなく日本より成長余力があり、
多少成長のスピードが鈍っても、今後も確実に成長するでしょう。
中国株式市場はそういった背景を反映し、
ボラティリティの大きなマーケットとなっています。
要するに、中国株は、下げる時は大きく下げますが、
全体としては、成長基調にあるということです。
ですから、中国株でこそ、「ドルコスト平均法」が、
その効果を最も発揮すると思います。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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