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ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

デリバティブ汚染

2009年11月17日
投資 0

デリバティブ汚染――金融詐術の暴走 (講談社BIZ)
デリバティブ汚染――金融詐術の暴走 (講談社BIZ)
(2009/07/30)
吉本 佳生 商品詳細を見る

満足度★★★★

NHK「出社が楽しい経済学」で監修を務める吉本佳生さんが
「どんなに忙しくても、この本だけは書きたい」と言った一冊。

メガバンクなどの金融機関を敵に回し、
日本のデリバティブ汚染の現状を過激に告発しています。

本書によると、現在は多くの大学や地方公共団体が
デリバティブ商品で基金などを運用しているようです。

2008年末で、実際にデリバティブ商品を利用している
地方公共団体は17団体で、総額約4200億円。

あなたの住んでいる自治体は大丈夫でしょうか?

具体的に投資したとされる金融商品は、
「PRDC債(パワーリバースデュアルカレンシー債」と
「FXターン債」と呼ばれる仕組債。

これらの商品は、「表面」と「実態」で
次のような大きなギャップがあると、吉本さんは指摘しています。

   <表面上では>           <実態は>
・優れた金融商品に投資した  ⇔ ・怪しい投資話しにひっかかった
・元本は安全                     ⇔ ・ほぼ全額損失
・高度な運用                      ⇔ ・無責任な運用
・金融機関の手数料はゼロ    ⇔ ・金融機関は契約時に巨額の利益

  「デリバティブ=利益先食い+損失先送り+責任逃れ」

警告の意味を込め、ワーストケースシナリオが用いられているので、
かなり極端に感じるかもしれません。

しかし、投資で大切なことは、最悪のケースを常に想定しておくことですから、
こういった認識を持つことは必要です。

私は、吉本さんほど「デリバティブ=詐欺」といった、
強い思いはありませんが、
最大の問題は、そのリスク認識がしにくい点だと思います。

ですから焦点となるのは、デリバティブに投資している地方自治体が、
どの程度のリスク認識で、どの程度の割合で組み込んでいるかということ。

金融リテラシーが高い地方の首長というのも、
あまり想像できませんから、吉本さんが指摘するように
「国債より高利回りで元本保証」という金融機関の甘いセールストークを
鵜呑みにしている地方自治体も十分にありそうです。

フリーになって制約がなくなり、
言いたい事を言っている感じがする吉本さん。

ただ、ここまで書くと、私は吉本さんの身を案じざるを得ません。

【関連著作】
本書は、金融商品自体の説明にあまり多くのページを割いていないので、
同じ吉本さんの著作では

金融商品にだまされるな!
金融機関のカモにならない! おカネの練習問題50
金融広告を読め

などと併せて読むと良いでしょう。

この本から何を活かすか?

  「“満期についての選択権”を奪われる金融商品は、明らかに欠陥商品」

これは、吉本さんがPRDC債やFXターン債の
「最も毒性の強い部分」として指摘している事項です。

私が投資で、一番重視している点は「流動性」。

流動性を軽視して、過去に痛い目にあったことがありますから、
これは身に染みて分かっていて、以来、自分の掟としています。

売りたい時に売れる。

これはリスク管理をする上での大前提ですね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book. 

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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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