プロフェッショナルの交渉力
2009年05月26日

プロフェッショナルの交渉力
(2009/03/26)
田中 均 商品詳細を見る
満足度★★★★
田中均さんといえば、小泉訪朝後、北朝鮮拉致問題において
メディアから激しいバッシングを受けたことが記憶に新しいところです。
日米経済摩擦、大韓航空機爆破事件、日米安保共同宣言、
沖縄・普天間飛行場返還、北朝鮮拉致問題・・・
これらの日本の歴史的外交が動いた影には、
外務省官僚として活躍した田中さん存在がありました。
本書は、2つの側面で語られています。
一つは、プロが語る「交渉の本質」。
数々の修羅場を経験した田中さんは、小手先の「交渉術」ではなく、
本書で本物の「交渉論」を説きます。
もう一つは、プロフェッショナルな「外交」について。
当然ながら、本書で登場する事例は、国の代表が
国益を主張して話し合いのテーブルに着く外交の最前線です。
メディアでは結果論として、日本の主張が少しでも通らなければ
批判があるだけで、そのプロセスが報じられることは殆どありません。
本書では、私たちが、普段うかがい知ることのできない
国家間の交渉の裏舞台が、リアルに描かれています。
弾が飛んでこないテレビ局のスタジオで、
勝手な論を展開する 評論家とは異なり、
実際に交渉の場に立っていた 田中さんの言葉には凄みがあります。
本書では、田中さんが交渉の基本的要素と考える、
「確信」、「インテリジェンス」、「信頼性」、「リスク」
「力」、「戦術」、「保秘」、「発表」「人間関係」
の9つのキーワードを中心に交渉の本質が語られています。
「交渉は国家間であれ企業であれ、つまるところ人と人の営みである。
人を動かすロジックは共通である。」
難しい交渉ほど、ビッグピクチャーを描き、双方の共通利益に
つながる土俵を用意し、、最終的にWin-Winの関係を目指すことは、
外交でもビジネスの交渉でも同じということですね。
私たちが、日々直面する交渉にも難しいものがありますが、
田中さんが行ってきた交渉と比較すると、
まだまだ可愛いモノでしょう。
突破口が見えないタフな交渉に挑む前には、
是非、読んでおきたい一冊です。

本書を読む少し前に、私はある交渉の場に立ちました。
結果は惨敗。
頭も心もホットになってしまいましたことと、
根本的には、下準備が足りなかったことが原因です。
交渉の難しさを実感しましたが、本書で説かれている交渉の本質と
自分の行った交渉を照らし合わせ、次回につなげたいところです。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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