「超具体化」コミュニケーション実践講座
「超具体化」コミュニケーション実践講座
(2009/02/17)
小宮一慶 商品詳細を見る
満足度★★★
小宮一慶さんといえば、ディスカヴァー・トゥエンティワンから
出版されている「養成講座」シリーズが有名ですが、
本書は、プレジデント社から出版された「実践講座」です。
今度は、「実践講座」としてシリーズ化するのでしょうか?
本書は、相手に行動をとってもらうための
「伝える力」を鍛えるための本です。
話しが漠然としていると、それを聞いた人は、
どうアクションをとっていいか分かりません。
そこで本書は、話しを詳細に「具体化」することで、
相手にとって欲しい「次の一歩」を明確に示します。
本書が示す「具体化力をつけるための7つのポイント」は
次の通りです。
1. 「本当?」「なぜ?」「それから?」で具体化する
2. 漠然とした話しで納得してはいけない
3. 必ず例え話をする
4. 自分がイメージしていることを再現しながら話す
5. 話したことを文章にしてみる
6. 相手に繰り返してもらう
7. 数字は究極の「具体化」である
ただし、表面的な具体化だけでは、真意は伝わりにくいもの。
そこで小宮さんは、「意味」の伝達以上に
そのベースとなる「意識」を共有することの大切さを説いています。
日々の仕事が大量のメールの処理に追われ、
「意味」のやり取りだけで、本来一番重要な「意識」を共有するための
時間が奪われていることに警告を発しています。
「言葉=意味」とは、その人が思っていることの
氷山の一角ですから、水面下に隠された大部分の氷山が
どうなっているかを互いに知っておくのが、「意識の共有」に当たります。
ベースとなっている意識の部分が共有されていなければ、
いかに水面に出た一角の部分だけを具体的に記述しても、
十分なコミュニケーションが図れないのは当然でしょう。
そもそも、コミュニケーションとは、ラテン語で「分かち合うこと」を
意味しているcommunicatioに由来していますから、
本来の意味からしても、「意識の共有」は一番の基本なのでしょう。
また本書では、小宮さんが「売れない作家」から
「ベストセラー作家」へ変身した理由が明かされていました。
自分の書きたい内容ではなく、相手の聞きたい内容に
照準を合わせたのが、ベストセラー作家になった最大の理由のようです。
これこそが、コミュニケーションの真髄の一つですね。 この本から何を活かすか?
コミュニケーションの難しい点は、自分が意図したことが
相手になかなか伝わらないことがある一方、思った以上に相手が
想像力を働かせ、拡大解釈が進んでしまう場合があること。
このことを考えた時に思い出すのが、
ピーター・セラーズさんの遺作「チャンス」という映画です。
セラーズさん演じるチャンスは、世間を全く知らない庭師。
チャンスが語る植物の話しが、政治経済に対する深い意味の込められた
比喩と勘違いされ、いつしか政界に引っ張り出されそうになる。
大衆心理を風刺する上質なコメディの傑作です。
30年前の映画ですが、機会があれば是非ご覧ください。
不思議な余韻を残す素敵な作品です。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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