活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

サブリミナル・インパクト

2009年04月06日
科学・生活 4
サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)
サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)
(2008/12)
下條 信輔 商品詳細を見る

満足度★★★

kennさんのブログ「serendipity」で紹介されていた本です。

CMや広告のメディアは、私たちの潜在意識に働きかけ、
選択や意思決定にどの程度、影響を及ぼしているのか?

本書は、現代社会特有の現象が、無意識の認知メカニズムへ
与える影響を著者・下條信輔さんの研究をもとに解明しています。

キーワードは、「情動」と「潜在認知」。

下条さんは、日米で心理学や認知科学、神経科学の研究を行い
サブリミナル・マインド」の著者としても知られます。

本書では、いわゆる「サブリミナル効果」についても
触れられていますが、それが主眼ではありません。

もっと広く、エンタテイメントやCM・広告、政治が、
マスメディアを通じて、実際に大衆誘導や世論操作に
どの程度の影響を及ぼすかを学術的に検証しています。

もちろん一般向けの書籍ですから、「意識に反して体が裏切る例」や
「ポケモン事件」、「リメイクやリバイバルが確実にヒットする理由」など、
身近な例も多く取り上げられています。

また後半では、創造性と暗黙知の関係を考察するなど、
興味深い先鋭的な内容もテーマになっていました。

全体的には新書でありながら、なかなかハードな内容で、
同じ潜在意識をテーマにする本でも、苫米地英人さんの著書とは
全く別世界の本を読んでいる印象でした。

はっきり言って、本書を読んだからといって、
読者の行動指針を変えることにはならないでしょう。
また、刺激的な内容であるものの、私自身、本書の内容が
どの程度理解できたかも疑問が残ります。

しかし、私の意識レベルでは理解できていな部分があっても、
本書を読むことが潜在意識のレベルに影響を与え、
自分では気がついていない部分で、自分の行動に影響を与え
なんらかの効果があったと、納得できる内容でした。

この本から何を活かすか?

DVDなどの早送り再生で感動は伝わるか?

この点について、下條さんは、ストーリー展開を表面的に追うような
認知的なことはできても、真に情動に訴えかけるような
「感動」は伝わらないのではないかという見解を示しています。

それでは、本の速読で感動は伝わるのか?

この点について本書では考察されていませんし、
私自身も速読はできないので、予測の域を出ませんが、
一定の速度を超えると、やはり認知はできても感動は少ないのでは
ないでしょうか。

そう考えるのは、速読ができない私の妬みかもしれません。

実際は本の種類によって読み方を変えたり、同じ本でも箇所によって
スピードをコントロールすることで解決しているのでしょうね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.  
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

コメント4件

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桜木町のぱく

こんにちは。
埼玉県さいたま市大宮区桜木町も桜が満開になり、
気温商売の当店も”さくら咲く”と言うか
”初日が出た”感じになってまいりました。
冬季は映画ハゲタカのエキストラに参加したり
(特報2にサブリミナルカット的に映りました)
胃痙攣を起こし初胃カメラをやったりの撮影三昧。。。

>本の速読で感動は伝わるのか?
速さと感動は、個々のパーソナルテンポで感情移入できる速度があるように思います。速読で泣く人を見たら超能力者?と思いそうだけど、一般人の理解を超えた能力を持っている人はみんな超能力者だから・・・
僕にとってikadokuさんも超能力者の一人です。
では、繁忙期突入!
blogは6月下旬に再開予定です。
では、have a nice time,

2009年04月06日 (月) 16:12

ikadoku

桜木町のぱくさん

もうそんな季節なんですね。早いものです。
私の住む北海道では、桜はもう少し先。
最近やっと、自転車に乗れる路面になりました。

ぱくさんのおっしゃるとおり、感情移入できるテンポって
個人ごとにあるのでしょうね。

感情移入するからペースダウンするのか、
ペースダウンするから感情移入できるのか。

私は前者のタイプのようです。

2009年04月07日 (火) 07:49

kenn

ご紹介、どうもありがとうございます。

気になる本だから、なんどか読み返しそうです。
ほんの少しわかったことからでも、マスコミの姿勢などが、
いくらか理解できそうな気もします。


2009年04月08日 (水) 12:41

ikadoku

kennさん

こちらこそ、いつもご紹介いただきまして
ありがとうございます。

私も、本書を一度読んでも理解できていない部分が
あるので、また読み直す予定です。

2009年04月09日 (木) 11:16