さらばアメリカ
2009年04月04日

さらばアメリカ
(2009/02/07)
大前 研一 商品詳細を見る
満足度★★★★
ブッシュ政権時代の8年間で大きく変質してしまった
アメリカへの苦言を呈し、スタートしたばかりのオバマ政権に対する
期待とアドバイスが語られた本です。
私個人としては、本書を大前研一さんの
「国家レポートシリーズ」の一冊と位置づけています。
最近では、東欧、ロシアについての国家レポートがあり、
次は南米かなと期待していましたが、私の予想は大きくハズレて、
ど真ん中のアメリカでした。
ただし、本書は新に行った調査に基づくレポートではなく、
今までのアメリカとの長い付き合いから、大前さんが肌で感じた
ことを中心に、少し感情論的な要素も含まれています。
私にとって目新しかったのは、次の2点です。
一つ目は、アメリカのジャーナリズムの変化について語られていた点。
要はアメリカのメディアへのダメ出しですが、
特にCNNについては、その傲岸な態度について激しく批判しています。
日本で放送されるCNNj(米CNN、欧州CNN、アジアCNNを
日本向けに編成したCSのチャンネル)を見るなら、
「NHKのBS放送を見よ!」との意見もありました。
二つ目は、大前さんの反省の弁が書かれていた点。
「日本に生まれ、育ち、老いていき、かつ何とかしようと“平成維新の会”
などでもがいて、そして何も変えることができなかったこの自分が、
よくもまあアメリカのことをいけしゃあしゃあと批判できるものだ」
大前さんから、こんな言葉を聞くのは意外でした。
本書のサブタイトルは、
「So long, America! ...until you come back to yourself」とのことで、
これは、「とりあえずお別れ、昔の君に戻るまで」という
大前さんのアメリカに対する未練が込められているそうです。
未練はあるが、このまま付き合っていたら、お互い(日本とアメリカ)に
ダメになるから、一度分かれようという心境でしょうか。
ひょっとすると日本は、ジャイアンと化したアメリカから
暴力を振るわれても、分かれられない不倫相手なのかもしれませんね。
あと、昨日の記事「市場の変相」の著者モハメド・エラリアンさんは、
債券投資で有名なピムコのCEOですが、
そのパートナーであるビル・グロスさんについて、大前さんは、
「サブプライム危機を回避した賢者」と評していました。

「今や世界で最も影響力の大きいテレビ局は
アルジャジーラになったのではないかと感じることが時々ある」
大前さんによると、アルジャジーラはアラブ世界の声を誰よりも
正確に伝え、できるだけニュートラルになろうとしているそうです。
最近私は、国内のニュースでさえ
テレビで見る機会は、かなり少なくなっていました。
NHK・BS放送ではアルジャジーラをはじめ、
各国のトップニュースをオムニバス形式で放送しているとのことなので、
今度、見てみます。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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