人は意外に合理的
人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く
(2008/11/20)
ティム ハーフォード 商品詳細を見る
満足度★★★
日常生活の裏に隠された人々の合理的な判断を解き明かす本。
著者のティム・ハーフォードさんは、
英フィナンシャル・タイムズ紙で読者から寄せられる悩みに
経済学理論を駆使してユーモラスに回答する身の上相談ページ
「Dear Economist」を担当する経済学者。
とにかく扱っているトピックが生活に密着しています。
ギャンブル、戦争、恋愛と結婚、職場の上司、居住区・・・
日常生活において私たちは、想像よりはるかに広い範囲で、
数え切れないほどの目に見えない合理的な意思決定を、
なかば無意識のうちに下しているようです。
本書の冒頭で採り上げられるのは、
アメリカでオーラル・セックスをするティーンエイジャーが
増加してるという話題。
単に、最近の子供はませているとか、淫らになったと
片付けずに、この問題に対し「なぜ?」という問いを発します。
「合理的な人々はトレードオフとインセンティブに反応する」
という基本的な考えから、[コスト]・[ベネフィット]・[予想される結果]
の3点から、オーラル・セックス増加の合理的理由をあぶり出します。
とらえ方によっては“屁理屈”にしか聞こえない面もありますし、
ハーフォードさんも、人が常に合理的な判断を下している
とは考えていません。
しかし、どのような事象においても、その背後にあるロジックを
考える習慣が身についていると、役に立つことがありそうです。
少し前に、ダン・アリエリーさんの「予想どうりに不合理」を
読みましたが、この2冊の主張は対極にあるものではなく、
それぞれが人の持つ一面を表しているといえます。
まとめると、
「人は意外と合理的に判断を下しているもので、
不合理な行動をとっても、それはけっこう予想がつくことが多い」
となりますね。この本から何を活かすか?
それを知りえて得られる便益よりも、それを知るためのコストが、
上まわるため、無知のままでいること。
これを本書では、
「合理的であるがための無知」
と表現しています。
何か常識的なことを知らずにツッこまれた時に、
「私はそれを知るためのコストと、知って得られるベネフィットを
合理的に判断し、知らないままにしておいたのだよ」
と切り返すのはどうでしょうか(笑)。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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