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ikadoku

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偉大な定理に迫る! 理系脳を鍛える数学クイズ

2021年03月12日
数学 0

偉大な定理に迫る! 理系脳を鍛える数学クイズ
満足度★★★★ 
付箋数:26 
posted with ヨメレバ
 「近世以降の数学の発展は目覚ましく、
 各分野で多くの定理が証明され、
 さまざまな理論が発見された。
  “数学にはどのような理論が
 あるのか”  “各理論にはどのような
 応用があるのか” を独学で調べる
 のは困難なほどである。
 本書は、高校数学で触れられる範囲で、
 数学の各分野の代表的な理論や
 その応用をコンパクトに紹介する
 という目的で書かれた。」

ただ数学の定理や理論を紹介する
本ではつまらない。

本書が秀逸なのは、それが4択クイズ
を通じて学べることです。

想定読者は、理系を目指す高校生と
大学の理系の学生かそれに相当する
レベルのある方。

クイズだけなら、小中学生でも
できるものも含まれています。

ただ本書が凄いのは、クイズの先に
ある解説。

一見するとシンプルなクイズに
見えるかも知れませんが、
クイズを通じて数学の理論に触れ、
数学の奥深さの一端を垣間見る
ことができます。

著者は、整数論、整数幾何学が
専門の理学博士で、現在は数学教材
の執筆を行っている廣津孝さん。

本書では、廣津さんが長年研究して
集めた80問の4択クイズを掲載します。

では、本書から1問クイズを紹介
しましょう。

■クイズの対象:中学3年生
■理論の難しさ:大学3年生以上

 ある島には、真実しか言わない
 騎士と嘘しか言わない奇人の
 2種類が住んでいる。

 島には、クラブⅠとクラブⅡ
 という2つの社交クラブがある。

 クラブに入るのが許されている
 のは騎士だけであり、すべての
 騎士はクラブⅠ、クラブⅡの
 いずれかに属している。

 この島の住人の “自分はクラブⅡ
 の会員ではない” という発言から
 わかることとして正しいものを、
 次のA~Dから選べ。

 A 住人は騎士で、クラブⅠの会員
 B 住人は騎士で、クラブⅡの会員
 C 住人は奇人である
 D 住人が騎士、奇人のどちらで
  あるかはわからない

クイズ自体は、ちょと考えると、
恐らく小学生でもわかる問題です。

しかも4択なので、選択肢から
答えを類推できるかもしれません。

このクイズのベースの理論は、
「数理論理学」で、テーマは、
ゲーデルの「不完全性定理」です。

 「自然数理を含む帰納的に公理化
 可能な理論がω無矛盾であれば、
 証明も反証もできない命題が
 存在する(第1不完全性定理)」

 「自然数論を含む帰納的に公理化
 可能な理論が無矛盾であれば、
 自身の無矛盾性を証明できない
 (第2不完全性定理)」

詳しい定理解説は、本書を読んで
いただくとして、クイズを入り口に、
数学の核心に触れられるのは、
本当に凄いことです。

ちなみに、クイズの答えは「A」。

住人が奇人だとすると、クラブに
入れないので、真実を言ったことに
なるので、嘘しか言わないという
条件に反します。

したがって、住人は騎士になり、
騎士は真実しか言えないので、
クラブⅡに入っていないとなると、
クラブⅠの会員となります。

この本から何を活かすか?

本書のクイズのタイトルだけ、
いくつか紹介しておきましょう。

・満室の「無限」ホテルで新しい
 客を泊める方法
・小銭の枚数が最も少なくなる
 お金の支払い方
・席替えで全員の席が入れ替わる
 確率
・パンケーキとサンドイッチの
 切り分け
・針が線に当たるように落ちる確率
・美術館に配置する警備員の人数

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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