妄想する頭 思考する手 想像を超えるアイデアのつくり方
2021年03月10日
妄想する頭 思考する手 (ノンフィクション単行本)
満足度★★★★★
付箋数:31
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暦本 純一 祥伝社 2021年02月01日頃
読んでいて、興奮冷めやらぬとは、
まさにこの本のこと。
個人的には、ここ数年で読んだ
本の中で、最も知的好奇心を
刺激された本でした。
読んでいて、あまりに面白く、
思わず「うぉっ!」と唸り声が
出てしまうほど。
本書は、アイディアの作り方や
発想のコツをまとめた本です。
所々で、イノベーションを起こす
ときの高揚感が味わえます。
著者は、ソニーコンピュータ
サイエンス研究所副所長で、
東京大学大学院情報学環教授の
暦本純一さん。
「スマートスキン」の開発者。
と言ってもピンとこないかも
しれませんが、誰もが使っていて、
お世話になっている技術です。
実は、スマホやタブレットで使う、
画面を指2本で広げたり狭めたり
する技術の発明者です。
経緯は省きますが、iPhoneで
この技術が使えるだけでなく、
Androidでも使えるようになった
のは暦本さんのおかげです。
さて、タイトルにもある通り、
本書のキーワードになっている
のが、「妄想」です。
「我々は、現在の延長線上で物を
考えがちである。妄想は、今ある
ものを飛び越えて生まれるもの
であり、だからこそ “新しい” 。
いや、何かを妄想しているとき、
最初からそれが新しい発想だとは
自分でもわかっていないかも
しれないのだ。」
実際に、暦本さんのスマートスキン
の技術も、考案されたのは、
スマホが世の中に生まえる前。
最初は今のように使われるとは、
想像していなかったようです。
同じように、VRの技術も、
新型コロナが流行った状況下で、
今のように応用されるとは
考えていなかったはずです。
「むしろ “なんでこうなって
いないのだろう” “こっちのほう
が自然じゃないだろうか” と
漠然と思っているだけで通り
過ぎてしまう場合も多い。
だから、妄想によって “新しい
ことを生み出す” には、思考の
フレームワークを意識して外したり、
新しいアイディアを形にし、
伝えたりするためのちょっとした
コツが必要だ。」
アイディア出しでよく使われる、
「ブレインストーミング」という
手法があります。
暦本さんは、これに否定的です。
なぜなら、「良いアイディア」より、
「その場でウケるアイディア」が
優先されがちだから。
更にブレストでは、限られた時間で
たくさんのアイディアをださなければ
ならないので、考える余裕がない。
しかし、良いアイディアを生み出す
には、個人でやる「孤独なプロセス」が
不可欠なのです。
本来、アイディアの責任を負うのは、
それを思いついた個人であるべき
ですが、集団でブレストでやると、
それが分散されてしまうのです。
では、個人の妄想をどうやって
形にしていくのか?
暦本さんが使う思考ツールは、
極めてシンプルです。
それは「言語化」。
「言語化すれば一撃でわかる。
モヤモヤとした頭の中のアイディア
をとにかく言語化してみることで、
そのアイディアの穴が見えてきて、
妄想は現実に向かって大きく
動き出す。」

アイディアを言語化するときの
ポイントは「一行で書ききる」こと。
この一行で言語化されたものは、
「ファクト」や「答え」ではなく、
あくまでも「仮説」です。
仮説だからこそ、検証したいことが、
どんどん出てきて、それがアイディア
が示す価値となります。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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