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ikadoku

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株式会社の世界史―「病理」と「戦争」の500年

2021年01月21日
経済・行動経済学 0

株式会社の世界史―「病理」と「戦争」の500年
満足度★★★★ 
付箋数:25 
posted with ヨメレバ
実務的に何かに役立つ訳では
ありませんが、読み物としては
なかなか面白い本です。

著者の偏見が多少気になる部分が
あるものの、だからこそ主張が
ハッキリしていて読みやすい。

 「お金が大好きで、お金を儲ける
 ことにしか興味がなく、無駄な
 出費は一切しない。利益にならない
 友人とは付き合わず、責任は極力
 他人に押し付ける。人には厳しく、
 相手を押しのけてでも自分を主張
 する。もしも、こんな人間が、
 あなたの周囲にいたとしたら、
 あなたはどうするだろうか。」

誰だって、このような人とは、
あまり付き合いたいと思わない
ハズです。

しかし、こんな強度の金銭フェチで、
なりふり構わない上昇志向を持って
いるのが、法人という人格としての
「株式会社」の性格です。

 「不思議なことだが、法人という
 法律上に定められた人格に限って
 言うならば、ほとんどの法人は
 あたかも生得の気質のように、
 上述した金銭フェチである、
 彼のような性格を最初から
 持っている。さらに不思議なのは、
 誰も、この法人というものの
 病的な性格に関して、根本的な
 疑いをさしはさむことはないと
 いうことだ。しかも、私たちは
 この法人(株式会社)というもの
 と係わらずに生活するわけには
 いかない。私たちは、私が病的
 と考える組織の中で、人生の多くの
 時間を過ごすことを宿命付け
 られている。」

どのような経緯で、株式会社は
こんな性格になったのか?

そして、株式会社はこの病的な
性格のままで、未来永劫存続して
いけるのか?

本書は、株式会社の歴史を振り返り、
その在り方について論じた本です。

ただし、日本の株主が創業一族だけ
の会社や、実質的に社長が無限で
責任を負うような会社を除きます。

あくまで、所有と経営が分離して、
株主が主権を有し、株式市場で
公開された会社を対象とします。

あるいは、そこまで整備されて
いなくても、その先駆的な形態の
法人を見ていきます。

著者は、文筆家、起業家で、
立教大学の客員教授を務める
平川克美さん。

最初は、『ヴェニスの商人』や
東インド会社の設立の時期から
スタートとします。

そこから、第Ⅰ部では、複式簿記
の発明、アメリカ合衆国の誕生など、
約500年の歴史を紐解いていきます。

続く第Ⅱ部では、株式会社の「原理」
と「病理」と題して、個人の欲望
との結びつきや、その倫理について
考えます。

最終章では、株式会社の限界が
見えてきたとして、株式会社の
行く末についても論じます。

跋扈する経済的人間として、
登場するのは、村上ファンドの
村上世彰さん。

さらには、株式会社の「病」の
発症例としては、ライブドア事件
の堀江貴文さんも登場します。

本書は、立教大学社会人大学院
での講義を基にして書かれて
いるようです。

そのため、いろいろな話題を
取り込みつつ進める講義を聞いて
いるように、非常に魅力的な
本になっています。

この本から何を活かすか?

ウィリアム・シェイクスピアさん
が書いた戯曲の中でも、かなり
特異な作品の『ヴェニスの商人』。

 「何が特異なのか。それは、
 この作品が、単に人間の権力欲
 や、嫉妬心や虚栄心が生み出す
 悲喜劇を離れて、貨幣、法、国家
 という共同幻想が作り上げた
 現代社会の土台の根本に触れて
 おり、そこに向こう500年を見通
 した洞察がちりりばめられている
 というところにある。」

あらためて、『ヴェニスの商人』を
読んでみたいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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