活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

禍いの科学 正義が愚行に変わるとき

2021年01月06日
科学・生活 0

禍いの科学 正義が愚行に変わるとき
満足度★★★★ 
付箋数:26 
posted with ヨメレバ
 「科学は、パンドラの美しい箱に
 なりえる。そして、科学の力で
 どんなことができるのかを模索する
 私たちの好奇心が、時として多くの
 苦しみと死をもたらす悪霊を解き
 放ってしまうこともある。
 場合によっては、最終的な破壊の
 種がまかれることになるかも
 しれない。これらの物語は、
 有史以来、現在まで続いている。
 そして、パンドラの教訓は
 忘れられたままだ。」

科学の発明の中には、今となって
考えると、最悪の結果をもたした
ものがあります。

しかし、当の本人は正しいことを
していると思って行動していました。

また、当時は人々もそれを熱狂を
もって受け入れていました。

いったい、どこで間違って、
致命的な害悪をもたらす結果に
なってしまったのか?

本書は、人類に破滅的な禍いを
もたらした7つの発明について
語った本です。

著者は、米ワクチン開発の権威で、
医師のポール・A・オフィットさん。

オフィットさんは、医師、科学者、
人類学者、社会学者、心理学者など
多方面の方にリスト作成の協力を
依頼しました。

それは、その人が考える世界最悪の
発明リストです。

その中から、多くの死をもたらし、
環境にも害を及ぼし、現在でも
影響が残り続けている7つの発明に
絞りました。

本書では、7つの発明がどんな経過
を辿って、悲劇に変わってしまったのか
を追い、どうすれば回避できたのかに
ついても考察します。

禍をもたらした7つの発明は次の通り。

第1章 神の薬 アヘン
第2章 マーガリンの大誤算
第3章 化学肥料から始まった悲劇
第4章 人権を蹂躙した優生学
第5章 心を壊すロボトミー手術
第6章 『沈黙の春』の功罪
第7章 ノーベル賞受賞者の蹉跌

この中から、発明とは違いますが、
第6章のテーマを紹介します。

 「現在の環境保護運動の生みの親
 である有名な自然を愛する作家が
 書いた本が、ある殺虫剤の禁止に
 結びついた。禁止法は環境活動家
 には歓迎されたが、公衆衛生局は
 状況を不安視した。
 そして殺虫剤が禁止された結果、
 命を落とさなくてすんだはずの
 数千万人の子供たちが犠牲になった。」

禁止になったのは、「DDT」と
呼ばれた農薬です。

禁止運動のきっかけとなったのが、
レイチェル・カーソンさんの本、
沈黙の春』でした。

 「レイチェル・カーソンは少々
 やり過ぎた。DDTは小児白血病などの
 病気を引き起こす、少し前まで元気
 だった子供が数時間後には死ぬ
 こともあると主張したことで、
 彼女は人々をひどくおびえさせて
 しまった。レイチェル・カーソンは
 科学者だと自称していたが、
 結局のところ、そうではなかった。
 彼女は自分の偏った意見に合うように
 真実を捻じ曲げる論客だった。」

もちろん、カーソンさんの活動は、
人々の目を環境問題に向けさせた
功績もあります。

詰まるところ、私たち受け手側の
科学リテラシーに起因するところが
大きいのでしょう。

本書は、科学ドキュメンタリーとして
優秀なだけでなく、私たちが判断を
誤ることを防止する役割も果たします。

この本から何を活かすか?

本書では、過去の失敗から学ぶ
「教訓」を次のようにまとめています。

1.データがすべて
2.すべてのものには代償があり、
 ただ1つの問題はその代償の大きさ
3.時代の空気に流されるな
4.手っ取り早い解決策には気をつけろ
5.量次第で薬は毒にもなる
6.用心するにも用心が必要
7.カーテンの後ろにいる小男に注意
(オズの魔法使いからの比喩表現)

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
関連記事

気に入ったらシェア!

ikadoku
この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

コメント0件

コメントはまだありません