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ikadoku

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免疫の守護者 制御性T細胞とはなにか

2020年12月14日
科学・生活 0

免疫の守護者 制御性T細胞とはなにか (ブルーバックス)
満足度★★★★
付箋数:26 
posted with ヨメレバ
日本人のノーベル賞受賞者が出ると、
「へ~、そんなすごい研究をしていた
日本人がいたんだ」と初めて聞いて
驚く場合が多いと思います。

しかし、もし受賞前から「この人は、
いずれノーベル賞を受賞する」と
注目していると、発表後の感動は
また違ったものになるでしょう。

ぜひ、本書の著者、坂口志文さんに
注目しておきましょう。

きっと何年後かの、ノーベル賞発表の
際には、「絶対に受賞すると思ってた」
と言うことができるでしょう。

本書は、制御性T細胞(Tレグ)の
発見から、研究の現在、さらには、
将来展望までが解説された本です。

制御性T細胞とは、自己に対する
免疫応答の抑制的なコントロールを
行なうT細胞。

免疫は私たちの自分の体に入ってきた
外敵(異物)を認識して身を守ります。

しかし、実は、まれに自分の細胞を
異物とみなして、攻撃してしまう
ことがあります。

それが、自己免疫疾患という病気。

ここで重要なのが、「自己」と
「非自己」の区別です。

 「私の学問的興味は、 “なぜ、
 免疫系は自分(自己の細胞や抗原)
 に対して反応しないのか” という
 免疫自己寛容の解明であり、
 そこから免疫自己寛容のより
 一般的なメカニズムを探っていた。
 さまざまな実験系を組み立て、
 自らの仮説を検証しながら、
 免疫自己寛容のメカニズムに迫って
 いくなかで、免疫自己寛容の維持に
 中心的な役割を果たしている
 生体内の免疫細胞を捉えて、
 それを “制御性T細胞” と命名した。
 この細胞は、免疫系の “守護者” 
 として、その暴走を抑えるように
 働いている。」

この発見と研究は、がんや自己免疫
疾患の治療、あるいは臓器移植に
革命をもたらすと言われています。

例えば、がんについて。

がんが次第に活性化していくのは、
この制御性T細胞をうまく利用して、
免疫系からの攻撃を回避している
からです。

回避できるのは、がん細胞は、
非自己ではなく、自己の細胞だから。

従って、制御性T細胞をコントロール
することで、がんに対する新たな
治療ができるようになるのです。

ここで面白いのは、免疫学的な
「自己」と「非自己」の境界が、
固定されたものではなく、動かせる
ものであることです。

制御性T細胞の量や活性は調整する
ことが可能で、それを制御すると、
がんに対する免疫を強化することが
できるのです。

制御性T細胞をターケットとする
免疫応答制御法の開発は、新たな
免疫医療の世界を切り拓きます。

本書は、最新の免疫学を丁寧に
わかりやすく解説しています。

今読んでおけば、坂口さんが後に
ノーベル賞を受賞したときには、
先に読んでおいてよかったと、
きっと思えるはずです。

第1章 ヒトはなぜ病気になるのか
第2章 「胸腺」に潜む未知なるT細胞
第3章 制御性T細胞の目印を追い求めて
第4章 サプレッサーT細胞の呪縛
第5章 Foxp3遺伝子の発見
第6章 制御性T細胞でがんに挑む
第7章 制御性T細胞が拓く新たな
   免疫医療
第8章 制御性T細胞とは何者か

この本から何を活かすか?

移植における最も深刻な問題は、
いわゆる拒絶反応です。

移植された組織が、非自己と認識
されるから、免疫系から攻撃を受け
生着せずに、脱落してしまいます。

このときに「自己」と「非自己」の
認識をうまくコントロールできれば、
免疫の攻撃をまのがれることも可能。

そのため制御性T細胞の研究は、
移植においても重要視されています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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