活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

クオリアと人工意識

2020年09月11日
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クオリアと人工意識 (講談社現代新書)
満足度★★★★ 
付箋数:26
posted with ヨメレバ
 「私にとっては、このテーマで
 本当に久しぶりに書き下ろす本である。
 筆をとるのをためらっているうちに、
 この分野の本の最後の出版から
 いつの間にか十数年という驚くべき
 時間が経ってしまった。これだけ
 長い時間自分にとって大切なテーマ
 について本を書かないでいると、
 随分と言いたいこと、考えたいこと
 がたまってくる。」

本書は、脳科学者の茂木健一郎さんが、
自身が取り組んできたテーマに
ついて、正面から取り組んだ本です。

茂木さんは、イギリスの数学者の
ロジャー・ペンローズさんの
皇帝の新しい心』を読んでから、
脳科学の道に入りました。

そこでメインテーマに据えたのが、
「クオリア(感覚質)」です。

クオリアとは、何なのか?

 「意識の持つさまざまな属性のうち、
  “クオリア” は、もっとも重要な
 ものの一つである。クオリアは、
 例えば、 “赤” の “赤らしさ” を
 指す。あるいは、水の冷たさ、
 ヴァイオリンの音色、薔薇の香り
 などがクオリアである。
 クオリアは、議論することが
 難しい概念である。(中略)
 なぜなら、クオリアは、それに
 ついて認知的な理解、すなわち
  “メタ認知” を持つ人にとっては、
 これ以上にないくらいに “自明” 
 なことだからだ。一方、クオリアに
 ついてのメタ認知をまだ持たない
 人にとっては、それをいくら説明
 されてもわからない。」

このように説明されると、裸の王様の
服が見えない人でも見えると言った
ように、わからない人でもわかると
言ってしまいそうです。

そもそも「クオリアは科学かどうか」
という論争さえあります。

それぐらいクオリアは抽象的で、
定義が難しい概念ですが、私たちの
「意識」に通じているとされています。

本書のタイトルにもう1つ入っている
のが「人工意識」です。

Artificial Consciousness(AC)。

人工意識とは、今の人工知能の先に
あるもので、ロボットなどの人工物に
意識を持たせたもの。

私たち、日本人にとっては昔から
「鉄腕アトム」や「ドラえもん」など
で親しみがあり、しばしばSFの中では
取り上げられるテーマです。

 「いつの日か、人工的な機械も
  “意識” を持つに至るのだろうか?
 私の “意識” を機械の中に “コピー” 
 することはできるのだろうか?
 このような問いは、科学や技術の
 将来を考える上で重要なだけでなく、
  “人間とは何か” という根源的な
 疑問と関係しており、本書の中心的
 なテーマとなる。」

茂木さんは、人工知能や人工意識を
人間が作ろうとしているのは、
自分の「似姿」を作ろうとする本能
があるからだと考えています。

だとするならば、生物が子孫を残す
ために様々な戦略を駆使するように、
人工意識を作ることが人類にとっての
生き残り戦略となるのでしょうか。

本書の中で、もちろん明快な答えは
出ていませんが、人間とはそもそも
何なのかを考えさせられます。

専門的かつ抽象的な記述が多いため、
読むのに少々骨が折れますが、
非常に興味深いテーマを扱った本です。

この本から何を活かすか?

「セテウスの船」とは、構成要素の
入れ替わりの同一性の保持についての
パラドックスです。

部品を少しずつ置き換えていって、
最終的に全部置き換えられてしまった
船は、元の船と同じものと言えるのか
という問題です。

本書では、この「セテウスの船」を
脳についても考えています。

それは脳の細胞を1つずつ人工的な
素子で置き換えていき、やがて全て
置き換わったとします。

そのときに実現している「知性」や
「意識」は元の脳のものと言えるの
かという問題です。

この考えを推し進めていくと、
私たちの「意識」のコピーが作れる
ことになるようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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