仮想空間シフト
仮想空間シフト
満足度★★★★
付箋数:25
posted with ヨメレバ
エムディエヌコーポレーション 2020年08月06日頃
エムディエヌコーポレーションの
加藤さんより献本いただきました。
ありがとうございます。
2020年になってから、コロナウィルス
の影響で、多くの方がリモートワーク
を余儀なくされました。
そこで、みんなが気づいたこと。
「案外、仮想空間(在宅やリモート)
でも仕事できちゃうよね」
もし、このリモートワークが不便な
ものだったら、コロナの収束とともに
元の生活に戻るはずです。
しかし、それとは逆に今回多くの方が
仮想空間の便利さに気づきました。
そのため、後戻りするどころか、
今後は更に仮想空間シフトが進んで
いくでしょう。
実は、この変化は始まりに過ぎません。
仮想空間シフトは、最初に「仕事」に
影響を与え、次に「暮らし」、「社会」、
そして「人生」、「国家」へと順次
波及していきます。
本書は、今、目の前で起こっている
「仮想空間シフト」についての対談本。
もちろん、この対談自体もリモートで
行われました。
対談したのは、フューチャリストの
尾原和啓さんと、著述家の山口周さん
という注目度の高いお二人です。
仮想空間シフトによって起こる変化は、
今までのさまざまな制約がなくなり、
自由度が高まる未来です。
それに対して、漠然とした不安を
持つ人もいるかもしれません。
しかし、お二人の対談を読んでいると
今後の仕事の仕方や、生き方の指針が
でき、そういった不安感は解消します。
しかも、日本人にはもともと、
仮想空間へ対応するポテンシャルが
あると言います。
仮想空間で求められる仕事の仕方は、
「オーケストラ型」から「ジャズ型」
へ変化するようです。
しっかりパートを割り振って、
個別で練習して、みんなで集まって
練習し、目標とする本番を迎えるのが
オーケストラ型。
一方、ジャズ型はその場の雰囲気で、
ドラムやギターを演奏できる人が集まり、
音楽を奏で始めます。
なぜ、このジャズ型が日本人に合って
いるかというと、ゴレンジャーや
ワンピースを見てきたからだと言います。
梶尾 メンバー1人1人が違う特質を
持っていて、それを持ち寄る
ことで強敵を倒すというのが、
フィクション作品を通して
浸透しているんですね。
山口 なるほど。日本人こそは実は
仮想空間シフトに適した
ポテンシャルがある、と。
一方で、この仮想空間シフトについて
いける人と、ついていけない人の分断が
アフターコロナでは社会問題になると
指摘されています。
もともと、ビフォアコロナにおいても、
インターネットを使える人と、
使えない人のデジタルデバイドの問題が
ありました。
同じような分断が仮想空間シフトに
ついても起こり、それは価値観ディバイド
にもつながっていく可能性があると。
自分が取り残される側にならないためにも、
この対談は読んで良かったと思いました。
お二人の対談は本質的な議論をしつつ、
そこに豊富なエピソードを交えて
好奇心を掻き立てるので、刺激的です。
200ページ満たない分量でしたが、
非常に内容の濃い本でした。
序章 仮想空間シフトがもたらす未来図
第1章 仕事が変わると暮らしが変わる
第2章 人間と社会が変わる
第3章 人生が変わる
第4章 国家や行政が変わる
第5章 これからの世界を生き抜く
10のアクション
終章 「何者かへ」のなり方が変わる

本書では、アフターコロナの環境を
利用して成長するために必要な
「10のアクション」が示されていました。
1つ目は、「境界性領域を作る」です。
これは仮想空間で快適に仕事をする
ために、アイデンティティの切り替え
ができるアイテムを持つということ。
例えば、マグカップを仕事用と
プライベート用を使い分けるなど。
このアクションの参考になる本は、
平野啓一郎さんの『私とは何か
紹介されていました。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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