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ikadoku

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戦国大名の経済学

2020年08月06日
経済・行動経済学 0

戦国大名の経済学 (講談社現代新書)
満足度★★★
付箋数:24 
戦国大名は、ある特定の地域を独占的に
支配した武力国家です。

その支配地域は領国と呼ばれました。

朝廷や幕府の権力がおよばない領国は、
小規模ながら独立国家と見ることも
できます。

領国は戦国大名を頂点として全国に
点在した、地域国家だったのです。

では、その戦国大名の懐事情は、
どうだったのでしょうか?

当然、戦をするとお金がかかります。

その戦が頻繁にあるのが戦国時代。

また、戦がないときでも、領国を
治めていくために、やるべきことが
あります。

道路や港湾の維持管理、土地開発、
治水、朝廷・幕府への献金。

なにかとお金がかかりますが、
極めつけは、築城です。

これらの莫大な出費を戦国大名は
どのように賄っていたのでしょうか?

 「本書は戦国大名が築いた財政基盤
 とはどんなものであったのか。
 その後の150年という流れの中で
 変化する日本の経済情勢に、
 彼らはどう向き合ったのか。
 一方、名も無き当時の人々は、
 この時代をどう生き抜いたのか。
 戦国時代と称される時代の日本列島
 における経済事情を、これまでの
 研究成果に導かれながら、
 いくつかのトピックを取り上げて
 述べていきたい。」

本書は、経済という視点から
戦国時代を捉える本です。

著者は、貨幣経済史を専門とする
千葉経済大学経済学部准教授の
川戸貴史さんです。

個人的に気になったのは、やはり
当時としても超大規模の事業だった
築城です。

例えば、2016年の熊本地震で被災し、
甚大な被害を受けた熊本城。

熊本城の被害箇所を修復するには、
20年以上、600億円以上もの費用が
かかると言われています。

現代の技術をもって、修復するだけ
でもこれだけの費用がかかります。

それを当時の技術、経済規模で
築城するとなると、相当な負担で
あったことが容易に想像できます。

本書では、安土城の建設費用を
算定しています。

安土城は、1576年に織田信長が、
家臣の丹羽長秀に命じて、築城を
始めました。

まずは石垣を組むところからですが、
1万人が動員され3日で組まれたと
されています。

この人件費を現代の価値に換算すると、
2000万円程度です。

そして、豪華絢爛な天守です。

柱は長さ8間(約14.4メートル)で、
直径1尺5寸(約45センチ)程度のものが、
49本使用されていました。

内装は当代きっての名工や絵師が
担い、京都・奈良・堺の職人が
招集されていたようです。

この天守の建設費用は234億4000万円
相当です。

更に築城全体に携わった労働者の
コストも加えると、総工費は1000億円
近くと試算されています。

ただし、現在の価値で1000億円と
いっても、経済の規模自体が当時と
全く異なります。

現代の1%にも満たない当時の日本の
経済規模から考えると、更に破格の
大工事だったと考えられます。

その他にも本書では、戦争1回あたりの
費用を計算したり、捕虜1人あたりの
身代金なども推定しています。

本書は非常にユニークな視点の歴史本。

当時の資料が残っていない中で、
戦国時代の経済事情を読み解くのは、
大変な作業だったと想像できます。

この本から何を活かすか?

本書で注目したいのは、戦国時代の
世界経済とのつながりです。

それは南蛮貿易の展開と貨幣としての
銀の成立によるものです。

銀と言えば、石見銀山。

この石見銀山が、日本が世界市場に
参入するきっかけとなったようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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