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ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

大前研一 世界の潮流2020~21

2020年07月21日
社会・国家・国際情勢 0

大前研一 世界の潮流2020~21
満足度★★★ 
付箋数:23 
posted with ヨメレバ
大前研一さんは、人気シリーズ
日本の論点』を毎年刊行しています。

それとは別に2018年から出た
新シリーズが、『世界の潮流』です。

日本のメディアだけから情報収集
していると、どうしても情報は
偏りがちになってしまいます。

それが、本シリーズを読むと、
世界全体の動向をバランス良く
把握することができます。

その上で、日本はどうすべきかが、
論じられています。

2020年に起きた「コロナ・ショック」
で、世界はどのように変わるのか?

 「さすがの私も昨年末の時点では、
 2020年早々、世界が今回のような
 事態に見舞われることは、予想
 だにしていなかった。
 ボーダレス経済論を提唱してきた
 私としては、トランプ的な
 自国主義者の蔓延くらいは何とか
 対処できると思っていたが、
 コロナウィルスによる国境の
 物理的閉鎖から人々の援助を
 制限するロックダウンまでは
 想定できなかった。」

大前さんにとっても、想定外だった
コロナ・ショック。

しかし、それだけに惑わされない
視点を持つことが重要となります。

ビフォー・コロナにおいても、
世界経済は、はっきりと下向きの
傾向を示していました。

最大の政治リスクは「米中覇権争い」。

それに香港問題、不安定な中東情勢、
ブレクジット、拡大するポピュリズム
が続きます。

そして世界情勢はトランプ大統領を
はじめとする「自国第一主義」と
「ポピュリズム」によって分断が
進みます。

そんな中で、日本の世界における
存在感は、薄くなりつつある。

 「日本経済が凋落した原因のひとつ
 に少子高齢化がある。出生率は現在
 1.42%と改善の兆しは、まったく
 みえない。高齢化率は何と28.4%だ。
 普通の国であれば、ここまで経済が
 落ちると、政治家に対して国民の怒り
 が爆発して暴動が起きるが、いまの
 ところその気配はない。」

日本では、安い給料をみんなで
分け合っているので、失業率は低く、
生活保護受給率も極めて低い。

その状況に耐えているものの、
賃金が上がらないので、物価は低迷し、
国力は徐々に低下していきます。

しかし、国民はまったく危機意識が
ないため、静かにただ衰退していく。

日本は、確実に「静かなる死」を
迎えようとしています。

では、日本はどうすべきなのか?

 「日本は中国の10分の1の国として
 どうすればいいのか。私の考えでは、
 隣の中国を徹底的に利用する
 クオリティ国家を目指せという
 ものである。」

わかりやすい例では、米国に対する
カナダがそうです。

カナダ人は、アメリカとの経済規模
の差に不満は感じず、逆にアメリカを
利用することしか考えていません。

クオリティ国家を目指すのが、
日本が生き残っていける唯一の道。

そして、大前さんが日本の最大の
問題として挙げているのが「人」。

質でも量でも、あらゆる面で人材が
不足していると指摘しています。

それを改善するために必要なのが、
教育改革です。

本書では、大前さんの教育システム
に関する提言がまとめられています。

しかし、個人的には大前さんの案が
素晴らしいとは思うものの、採用される
可能性は少ないと感じました。

この本から何を活かすか?

安倍晋三首相は、憲政史上最長の
在職日数を誇りますが、
大前さんの評価は最悪です。

以下、大前さんの考える安倍政権の
「残念な政策」ワースト5です。

 1位 アベノミクス
 2位 外交政策
 3位 働き方改革
 4位 地方創生とふるさと納税
 5位 マイナンバー

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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