活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

有限の中の無限 素数がつくる有限体のふしぎ

2020年07月07日
数学 0

有限の中の無限 素数がつくる有限体のふしぎ (ブルーバックス)
満足度★★★ 
付箋数:23 
posted with ヨメレバ
数の世界に興味を持っている2人、
プリムとツァールがお気に入りの
原っぱでカレンダーを広げて
数字あそびをしていました。

そこに突然、勢いよく風が吹いて
カレンダーが吹き飛ばされます。

プリムとツァールがカレンダーを
追いかけていくと、見たこともない門の
ある館にたどり着きました。

門の向こう側を覗いてみると、
たくさんの館が見えました。

2人が門をくぐると、そこには
「素数がつくる有限体のふしぎ」と
書かれていました。

まず、いちばん最初にある館の前に
立つと、「F2の館」と看板があり、
「1+1=0」とすると書かれていました。

不思議な数の館に迷い込んでしまった
プリムとツァールは驚くべき体験を
していくことになります。

本書は、このような物語で始まる
「素数がつくる有限体のふしぎ」を
紹介する本です。

著者は、これまでブルーバックスで
2冊の素数本を執筆してきたお2人。

広島国際大学看護学部看護学科教授の
西来路文朗さんと、岡山大学客員教授の
清水健一さんです。

過去の著作は2015年に刊行された
素数が奏でる物語』と2017年に刊行
された『素数はめぐる』です。

本書は「素数シリーズ」第3弾で、
「有限体(ガロア体)」を扱います。

 「 “有限体” は、四則演算が定め
 られた有限個の数の世界で、ガロア体
 ともよばれています。
  “有限体” は、ふつうの数の世界の
 箱庭のような存在です。
 有限個の数の世界の中に無限の数学
 が広がっている
 ことを知っていただきたいと
 思っています。」

有限体は、整数を素数で除算した
余りの集合で、要素が有限で四則演算が
閉じている集合です。

そこでは、1+1=0や1+2=0が
成立する不思議な世界です。

要素が限られていて、加減乗除の
四則演算ができるので、なにかと便利。

たった0、1、2の3つしか要素がなくても
数論や代数、幾何が成立します。

そのため実験計画法や符号理論、
または暗号理論などにも応用され、
実は私たちの生活にも見えないところで
密接に関係しています。

この有限体の世界を見出したのが、
19世紀のフランスの数学者、
エヴァリスト・ガロアさんです。

ガロアさんは、10代でガロア理論の
構成要素である体論や群論の研究を
行った、天才数学者です。

しかし、一人の女性をめぐって決闘を
行い、そのときに負った怪我が原因で、
20歳の若さで亡くなりました。

ガロアさんは、決闘の前から自分が
敗れて死ぬと自覚していたようです。

決闘前夜に「僕にはもう時間がない」
という走り書きと共に、ガロア理論に
つながる革新的なアイデアを綴って、
親友へ託したことは有名です。

そのガロアさんが、「数の理論について」
という論文の中で、有限体の新しい
数の世界を切り開きました。

本書では、プリムとツァールの2人に
先導してもらい、この素数が作る
有限体の不思議な世界を解説します。

ちなみにプリムとツァールという名前は
ドイツ語の素数「プリムツァール」から
採ったようです。

結構、数式も多いのでわかりやすい
かと言うと、微妙なところでしょう。

興味がないと、厳しいかもしれませんが、
興味がある人にとっては、適度に好奇心
を刺激する本だと思います。

この本から何を活かすか?

書籍は「ISBN」と呼ばれる、国際規格
のコードによって管理されています。

ISBNは数字を間違っても検知できる
仕組みが組み込まれていて、そこでも
素数が大きな役割を果たしています。

2006年以前のISBNは素数11を使って
いましたが、出版数が増えてきたため、
2007以降は13桁に変更されたようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
関連記事

気に入ったらシェア!

ikadoku
この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

コメント0件

コメントはまだありません