活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

大学教授が、「研究だけ」していると思ったら、大間違いだ! 「不人気学科教授」奮闘記

2020年07月03日
ビジネス一般・ストーリー 0

大学教授が、「研究だけ」していると思ったら、大間違いだ! 「不人気学科教授」奮闘記
満足度★★★ 
付箋数:17 
posted with ヨメレバ
 「この本では、世の中ではおそらく
 知られていない “国立大学工学部教授
 の仕事” を、私の経験に即して
 具体的に述べる。もちろん、国立大学
 工学部だけでも教授は全国にごまんと
 いる。私が平均の教授像かどうかは
 わからない。
 むしろ “教育”  “広報活動” に注力
 していた点では、めずらしい教授かも
 しれない。しかし、その活動には、
 教員として普遍的な心意気や手法が
 含まれていると思う。」

本書は、国立大学工学部教授の日常を
綴った本です。

タイトルにある通り、一般的には、
大学教授と言えば、研究ばかりを
しているイメージがあります。

しかし、組織の一員として働くので、
そんな訳にはいかないようです。

仕事の中身は、大きく分けて4つ。

「研究」を筆頭に、学生の「教育」、
人集めの「広報活動」、組織として
必要な「管理運営」です。

本書の著者、千葉大学の名誉教授の
斎藤 恭一さんは、この4つの内、
「教育」と「広報活動」にウェイトを
置いて仕事をしてきました。

本書は、そんな斎藤さんの奮闘記です。

国立大学工学部のセンセイが何を
しているかという点では、作家の
森博嗣さんが一部内容を描いている
ことがあります。

しかし、どう考えても森さんは
普通じゃない。

森さんは、私の持っている大学の
センセイのイメージとかけ離れている
ので、本書で斎藤さんが描く日常の
方が、一般的な姿なのだと思います。

特に斎藤さんは、不人気に学科を
受け持っていたので、国立大と言えど、
広報活動が必須でした。

志望倍率が下がってくると、
合格する学生のレベルが下がります。

そうならないように、大学側は何とか
志望倍率を上げる努力をします。

手っ取り早いのは、大学の近くの
予備校の受験生の前で、自分の学科を
PRすることです。

しかし、予備校生はすでに志望学科を
選んでいる場合が多いので、志望倍率を
大きく上げることはできません。

そこで、大学の広報活動としては、
高校に出向いてPRすることになります。

高校の進路指導の先生に、模擬授業や
進路講演会の企画を持ちかけて、
指定の日時にそこへ出かけていく。

本書では、次のような講演会の様子が
描かれています。

 「講演には、お客さんを楽しませる
 ために、ストーリー性のあるダジャレ
 を3つほど用意してあった。
 このやり方はそれなりに成功して
 きたので、今回もその1つ目の
 ダジャレをくり出した。
 すると、活きのよい子どもが担当者
 に向かって大声で、 “寒いので、
 エアコンを切ってください” と叫んだ。
 一瞬、私は “そんなに寒くはない
 だろう?” と思ったのだけれども、
 そういうことではないと気がついた。
 …… “ダジャレが寒い” という意味だ。」

斎藤さんは大学の講義の中でも、
不定期にダジャレを入れるようです。

本書を読んで微笑ましいと思うか、
大学教授って大変だなあと同情するか。

それとも、大学教授の現実の姿を見て
嫌になってしまうのか。

かなり赤裸々に語っているので、
大学教授の内情はわかりますが、
千葉大に行きたいと思うかは別の話。

本書が、千葉大の逆宣伝にならない
ことを祈ります。

この本から何を活かすか?

斎藤さんは、「無理して」大学に
現役合格することを勧めていません。

ギリギリの成績で無理して入っても、
成績が悪いので奨学金がもらえない。

そうなるとアルバイトを一所懸命
しなければならないので、勉強時間が
減ってしまいます。

すると本人は自信が持てなくなり、
就職活動もうまくいかなくなる。

現役合格することだけを優先すると、
こんな悪循環が待っていると。

個人的には、そこまで短絡的では
ないと思いますが、実際の大学生は
そんなものなのでしょうか。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
関連記事

気に入ったらシェア!

ikadoku
この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

コメント0件

コメントはまだありません