活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

中国が世界を攪乱する―AI・コロナ・デジタル人民元

2020年07月02日
社会・国家・国際情勢 0

中国が世界を攪乱する―AI・コロナ・デジタル人民元
満足度★★★ 
付箋数:24 
posted with ヨメレバ
2019年12月30日、中国武漢市の李医師が、
SNSにある投稿をしました。

「7人がSARSにかかり、私たちの病院に
隔離されている。コロナウイルスの
感染が確認され、どのタイプか調査中」

中国警察は、これを社会秩序を乱す
デマだと問題視して、投稿した李医師を
訓戒処分としました。

李医師はその後も病院で治療を続け、
コロナウィルスに感染し、2020年2月7日
に肺炎のため亡くなりました。

武漢市は当初、新型コロナウィルスが
検出されていながら、「新たな症例は
見つかっていない」という説明を
繰り返しました。

この段階で、新型コロナウィルスの
感染拡大を封じ込められなかったのは、
中国の中央政府の力が強すぎて、
悪い情報を隠蔽しようとしたからです。

これは中国の「強権国家」の負の側面が
モロに出ています。

一方、その後の感染の拡大で、
中国の対応は大きく変わります。

1月23日、武漢は公共交通機関を閉鎖し、
事実上閉鎖都市としました。

1000万人を人口の都市を封鎖するのは、
人類史上例のないことでした。

中国は更にわずか10日で病院を建設
するなど、他の国では考えられない
力技の対応を行い、感染拡大を
封じ込めました。

これは逆に「強権国家」だからこそ
できたプラスの側面です。

その後、ヨーロッパやアメリカで
感染が拡大するのを尻目に、
武漢では封鎖が解除され、段階的に
経済活動が再開しました。

これは強権国家が人々の権利や
プライバシーを犠牲にして対策に
あたれば、国民は安全を得ることが
できる可能性を示しています。

強権国家にこのようなプラス面が
あるとすると、中国は覇権国家に
なることができるのか?

そして、世界は分権的で自由な社会を
求めるのか、それとも集権的で管理
された社会を求めるのか?

本書は、中国を中心とした、
今後の世界の基本原理を考える本。

著者は、早稲田大学ビジネス・
ファイナンス研究センター顧問の
野口悠紀雄さんです。

もともとは、米中経済戦争を軸にした
本でしたが、途中から第1章と終章に
コロナ関連のトピックを盛り込んだ
ようです。

野口さんは、中国の未来をジョージ・
オーウェルさんの小説『一九八四年
に重ねています。

ビッグ・ブラザーによって全国民を
常時監視するには、国民を超える人数
の人員が必要になり、原理的には
不可能でした。

実際に、ソ連はこれに近いことを
行おうとして、経済の効率が低下し、
崩壊しました。

しかし、今の時代ではAIを用いると、
実現可能となります。

インターネットや電子マネーを通じて
大量の個人情報を収集して、
プロファイリングや信用スコアリング
で個人を評価する。

監視カメラで人の動きを追跡して、
AIによる顔認証で個人を特定する。

中国の国民監視システムは、
着実に進行しつつあります。

新型コロナ対策、米中ハイテク戦争、
リブラVS.デジタル人民元、中国の歴史、
アリババの躍進、信用スコアリング、
データ共産主義、覇権国家の条件・・・

本書のテーマは多岐に渡り、情報量は
かなり多い、読み応えのある本です。

わたしたちは社会の基本原理をめぐる、
重大な選択を迫られています。

この本から何を活かすか?

 「ペスト菌は決して死ぬことも
 消滅することもないものであり、
 (中略)おそらくはいつか、
 人間に不幸と教訓をもたらすために、
 ペストがふたたびその鼠どもを
 呼びさまし、どこかの幸福な都市に
 彼らを死なせに差し向ける日が
 来るであろう。」

これはアルベール・カミュさんの
ペスト』から、本書に引用されて
いた一節です。

未読本なので、今週末読んでみます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
関連記事

気に入ったらシェア!

ikadoku
この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

コメント0件

コメントはまだありません