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ikadoku

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新種の発見-見つけ、名づけ、系統づける動物分類学

2020年07月01日
科学・生活 0

新種の発見-見つけ、名づけ、系統づける動物分類学 (中公新書 2589)
満足度★★★★ 
付箋数:25 
ある研究者が「新種を発見しました!」
と言ったとすると、あなたはどんな
印象を持ちますか?

これまで知られていなかった生物を
発見したのですから、「すごい!」と
思うのが普通でしょう。

確かに新種の発見は「すごい!」ことに
違いありませんが、実はそれほど珍しい
ことではありません。

 「新種は毎日のように発見されており、
 そのペースは近年では1年に2万種近く
 とも言われている。
 生物に名前を付ける方法が確立した
 のは1700年代中ごろ。それから250年
 ほど経過し、大空を無人撮影機が
 飛び交い、水深1万メートルを超える
 深海まで無人探査機がたどり着ける
 ほどに科学は発達したが、新種が
 発見されるペースは一向に落ちる
 気配がない。」

現在、地球上で名前が付けられている
生物は180万種以上あります。

その一方で、未知種の数はその倍以上
とも、1億種以上とも言われています。

今後もしばらくは、新種は毎日のように
発見される状況が続きそうです。

では、あなたが新種を発見したら
どうしますか?

こう聞かれると、マスコミに発表する、
ブログに書く、SNSに発表するなどの
方法を想像するかもしれません。

しかし、実際はそんなに簡単なもの
ではありません。

なぜなら、新種を見つけることが
できたとしても、それが新種であると
気づくこと自体が難しいから。

私たちが未知の種に偶然出会っても、
多くの場合、それが新種だと気づかずに
スルーしているのです。

本書は分類学の入門書。

分類学とは、生物を認識して、分け、
名前をつける基礎的な学問です。

著者は、東京大学大学院理学系研究科
附属臨海実験所(三崎臨海実験所)で
特任助教を務める岡西政典さん。

本書の冒頭で、岡西さんの新種発見に
まつわるエピソードが紹介されています。

 「冒頭で長々と綴ったこの研究話には、
 重要なことを二つ含めたつもりだ。
 一つは、私が最初にその新種の標本
 を発見したときに、それが新種である
 と全く気づかなかったこと、そして
 二つ目は、私が新種を認識してから
 発表するまでに、丸々二年がかかって
 いることである。」

まず、新種を発見したとしても、
それを新種と判断することが難しい。

図鑑の知識だけでは、それが新種か
どうかはわかりません。

そこで、古今東西の文献を突き合わせ、
世界中の標本を観察するなどの、
地道な作業を続け、新種であることを
特定します。

そのプロセスを経て、初めて新種である
と発表できるのです。

毎年、2万種以上の生物が発見されて
いながら、実はその生物に名前を付ける
分類学者の数は不足しています。

国内で開催される日本動物分類学会
には、約100人が参加してるようですが、
これは学生も含めた数です。

分類学で職を得ている国内の研究者の
数はもっと少ないようです。

一見、地味に思われる分類学ですが、
そこには大きな魅力があります。

 「私はこの分類学こそ、やりがいの
 ある学問だと信じている。
 見紛うことなき新種を手にした瞬間や、
 何百年も保管されていた標本を目にし、
 長年頭を悩ませてきた問題が一気に
 氷解していく瞬間など、得も言われぬ
 知的興奮を味わうことができる。」

本書は、その新種発見の際の知的興奮の
一部を垣間見ることができ、分類学の
歴史やこれかの可能性を余すところなく
伝えている本です。

この本から何を活かすか?

海と陸ではどちらの生物が多いのか?

この問いは、生物のどの段階の分類で
考えるかで、答えが違ってきます。

生物の分類の最高位階級は「門」。
その逆に最低位階級は「種」。

「門」で比べると、圧倒的に海の生物
の方が数が多く、「種」で比べると
はるかに陸の生物の方が多いようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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