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ikadoku

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人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差

2020年06月19日
社会・国家・国際情勢 0

人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差 (中公新書)

満足度★★★
付箋数:23

中国湖北省の武漢で発生していた
新型コロナウイルスは、2019年12月末に
世界保健機関に報告されました。

以来、武漢や中国内だけでは治まらず、
パンデミックとして世界中に感染が
拡大していきました。

2020年6月現在、世界中での死者数は
800万人を超えています。

新型コロナの感染予防のため、
わたしたちの生活は一変しましたが、
人類が感染症の脅威に晒されたのは、
今回が初めてではありません。

これまで、人類はどのようにして、
感染症と戦ってきたのか?

感染症は、今回の新型コロナのように
簡単に国境を超えてしまいます。

そのため、国を超えた協力体制、
国際保健協力(グローバル・ヘルス)
と呼ばれる枠組みが必要です。

実は、この保健協力の歴史は
それほど長くはありません。

複数の共同体が感染症対策のために
協力を始めたは、ヨーロッパで
14世紀にペストが流行したことが
きっかけでした。

その後、更に国際的な保健協力が
必要となり、第二次世界大戦後に
世界保健機関が設立されました。

人類はこの新たな国際協力で、
天然痘を根絶し、ポリオをほぼ
抑え込むに至りました。

しかし、その後もマラリア、
エイズ、サーズ、エボラ出血熱など、
新たな感染症が現れています。

本書は、これまでの歴史をたどり、
国際社会がいかにして病と闘うべき
かを論じた本です。

著者は、社会学者の詫摩佳代さん。

そのため医療の観点というよりも、
国際政治から見た本となっています。

本書がユニークなのは、人類の健康を
脅かすのは感染症だけではないとして、
最後は生活習慣病対策に論点を移して
いることです。

感染症に罹ると健康が著しく損なわれ、
最悪の場合死に至ります。

生活習慣病は人から人へ伝染るもの
ではありませんが、最終的に個人に
もたらす結果としては変わりません。

糖尿病やがん、肥満など生活習慣病
への取り組みを、同じ本の中で論じて
いるのは意外でした。

最後は、薬にアクセスできる人と、
できない人の格差の広がりについて
論じます。

このように広い視点で見ていくと、
私たちにはワクチンの開発以外にも、
解決しなければならない問題が
まだまだあることがわかります。

 「グローバル化が進む今日の
 国際社会では、これからも未知の
 感染症や新たな健康問題が次々と
 発生し、人類と病の闘いは続いて
 いくだろう。このような視点に
 立って、国際保健にまつわる様々な
 問題を洗い出し、人間の健康を
 確保するために必要なことは
 何かを検討していきたい。」

昨今の新型コロナの問題で、
どうしてもワクチンの開発だけに
目が行きがちでしたが、本書は
国際保健協力の重要性をあたらめて
認識させられる本でした。

 序章 感染症との闘い
 第1章 二度の世界大戦と感染症
 第2章 感染症の「根絶」
 第3章 新たな脅威と国際協力の変容
 第4章 生活習慣対策の難しさ
 第5章 「健康への権利」をめぐる闘い

この本から何を活かすか?

1981年に初めて症例が報告された
後天性免疫不全症候群、エイズ。

エイズ発症のもととなるHIVには、
これまで7700万人以上の人が、
感染してきました。

HIV感染は、抑えられつつあるのか?

感染者数は減少傾向を辿っている
ものの、いまだに世界で年間、
170万人もの新規感染者がいます。

しかも、ワクチン開発は2013年から
アフリカで臨床試験に入っていますが、
まだ有効性は確認されていません。

人類は同時並行でいくつもの感染症に
対応していくことが迫られています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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