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日本企業の勝算―人材確保×生産性×企業成長

2020年06月04日
社会・国家・国際情勢 0

日本企業の勝算―人材確保×生産性×企業成長

満足度★★★★
付箋数:25

先進国の中で「SINKING国家」と呼ばれる
グループが存在します。

Sはスペイン、Iはイタリア、Nは日本、
Kは韓国、2つ目のIはイギリス、
2つ目のNはニュジーランド、Gはギリシャ

英語のSinkは「沈む」という意味です。

従って、SINKING国家とは、沈みゆく
先進国という意味で使われています。

日本がこのグループの国として、
数えられているのは、他の国と同様に
「生産性」が低いからです。

以前から、日本企業の生産性は国際的に
見ても低いと指摘されてきました。

なぜ、日本企業の生産性は低いのか?

これまで日本のために多くの画期的な
政策を提案してきた伝説のアナリスト、
デービッド・アトキンソンさん。

アトキンソンさんは、その原因は
「産業構造の歪み」にあると指摘します。

「規模の小さい企業」が多すぎる。

日本では、「中小企業」が企業全体の
99.7%を占めています。

そのため、「日本の経済を支えている
のは中小企業」「日本の中小企業は
国の宝」などど言われています。

しかし、アトキンソンさんは、
その中小企業こそが日本の生産性が
低い原因だと指摘します。

中小企業の生産性が低いことが、
日本全体の生産性の低さになっている。

この事実は、国際的な比較をしても、
国内で都道府県別の比較をしても、
あるいは業種別の比較をしても
明らかなデータが示されています。

日本には、中小企業向けの優遇策が
たくさんあり過ぎて、逆に中小企業が
成長することを阻害している。

細々とやっている小さい企業は、
守るべきという短絡的な感情論を捨て、
成長できるように支援すべきと、
アトキンソンさんは提言します。

日本の「中小企業庁」の目的を変え、
「企業育成庁」にすべきだと。

もちろん日本の中小企業支援策は、
人口が増加していた時代には、
機能して大きな役割を果たしました。

しかし、時代は変わりました。

 「今の日本企業は、人口が増加して
 いた時代にできた制度に過剰適応
 しています。人口減少時代に変わった
 以上、根本から変革するしか
 選択肢はないのです。
 これからの日本企業が進むべき道を
 見極めるには、冷静な分析が不可欠
 です。本書の最大の目的は、
 日本企業のあるべき姿を見極め、
 日本経済の新しい時代をつくること
 に役立つ提言を行うことです。
 これは私のこの国への恩返しでも
 あります。」

人口減少時代に必要な政策は、
中小企業の規模の小ささを補完する
ことではなく、企業が最適な規模
まで成長するための支援です。

そして中小企業の生産性の低さを
改善するためには、合併促進策も
必要となります。

企業の数を減らして規模を大きく
することは、より能力の高い経営者
のもとに、労働力を集約することが
できます。

また、企業の数を減らすことは、
年功序列的な組織形態から、
人口動態の変化にふさわしい形に
組織を是正することも可能です。

本書のアトキンソンさんの提言は、
「かわいそう」という感情論によって
強い拒否感を持たれるかもしれません。

しかし、客観的なデータを検証し、
日本の本質的な課題を明らかにして
いますから、あまり反論余地はない
ように感じます。

この本から何を活かすか?

日本の商工会議所は最低賃金の
引き上げに対して大反対しています。

安い賃金で人を雇えることが、
加盟している中小企業にとっては
命綱になっているからです。

しかし、アトキンソンさんは、
「低すぎる最低賃金」が生産性の
低迷を招いていると指摘します。

それは人件費が安いと、機械などに
投資するインセンティブが低下して、
生産性が向上しないからです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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