英語コンプレックス粉砕宣言
英語コンプレックス粉砕宣言 (中公新書ラクレ (678))
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鳥飼 玖美子/齋藤 孝 中央公論新社 2020年02月07日
満足度★★★
付箋数:23
「本書は、月刊誌『中央公論』の
企画で行った齋藤孝さんとの対談を
もとに、雑誌には掲載されなかった
部分も入れて、一冊の本にしたもの
です。齋藤さんとは初対面でしたが、
対談は毎回、話が弾んだので、
紙幅の関係で誌面から落ちてしまった
話題が生かせることになったのは、
非常に嬉しいことです。」
このように語るのはNHKの英語講座の
講師を数多く務める鳥飼玖美子さん。
本書は、英語教育専門家の鳥飼さんと
日本語教育の専門家の齋藤孝さんの
対談本です。
お互いの考え方に違いはあるものの、
噛み合った議論が展開し、非常に
テンポよく対談が進みます。
迷走する日本の英語教育に対して、
効果的な提言をしています。
今まで日本の英語教育が悪かった
ので、日本人は英語を使えないと
よく言われます。
スピーキングを中心にやならいと、
ペラペラ喋れるようにならないと。
しかし、お二人は読み書きを中心
とする英語教育は悪くなかったと
考えています。
齋藤 英語のコミュニケーションで
基本になるのはスピーキングか
リスニングかといえば、
むしろ後者ではないか、と。
鳥飼 大変に重要な指摘ですが、
今はあまり言われていませんね。
「とにかく話せなきゃいけない」
の一点張り。まさに「ペラペラ
願望」です。私は「ペラペラ願望」
こそが、英語教育を悪い方向へ
改革する原動力へなっていた
気がします。
そもそも英語のセンター試験自体は
悪いテストではなく、むしろ質の高い
英語テストだった。
そして日本人の英語を話せない
というコンプレックスが、強烈な
「ペラペラ願望」を生み出している。
そのため、スピーキング中心の教育
に切り替えてみたが・・・
結局うまくいかず、やはり「読む力」
と「聞く力」が必要だったと気づく
ことになる。
ペラペラと英語を話せたとしても、
読み書きができないと、意味のある
知的なコミュニケーションができない
と、お二人は指摘しています。
その上で、小中高の英語教育は、
次のように改革すべきと、提言して
います。
<小学校編>
・スポーツのトレーニングのように
・教員は音声学を学ぶべし
・英語の発音は歌で学ぶ
<中学校編>
・文法は優先順位をつけて教える
・文法は英語でなく日本語で教える
・語彙力の強化は文学から
<高校編>
・英語で考えると読解力は落ちる
・日本語訳を読んでからリスニング
・英文解釈で頭が良くなると誘導
小中高で英語を学んだのに、
英語を喋れないから教育が悪かった
と考えるのは、あまりに短絡的。
それ以前に問題があるというのが、
お二人の共通認識です。
「私たち日本人は、 “英語ができ
なければならない” と思い込み
すぎているのではないか。
ふだん英語を使う必要のない人
まで、十字架を背負ってしまって
いるのではないか。そのことにより
自信を失うことがあるとすれば、
それは個人にとっても、大きく
言えば国力という意味でもマイナス
でしかありません。」
あらめて英語を学ぶことの意味も
この対談から考えさせられました。

英語のスモール・トークで重要
なのは、「ネタ帳」の準備。
咄嗟に英語で雑談することに
なったとしも、事前にネタさえ準備
しておけば、困ることはありせん。
齋藤さんは、自分の好きなものを
英語で書いた「My Favorite Map」を
作っておくことを勧めています。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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