活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

哲学思考トレーニング

2020年05月11日
問題解決・ロジカルシンキング・思考法 0

哲学思考トレーニング (ちくま新書 (545))
伊勢田 哲治 筑摩書房 2005年7月6日
満足度★★★★
付箋数:25

本書は2005年7月に刊行された本で、
私が入手したのはその第14刷です。

本書は、哲学的思考を使って、
思考のスキルを身につけるための本。

そのスキルとはクリティカルシンキング。

クリティカルシンキングとは、
意見を鵜呑みにせず、よく吟味する
ための批判的思考のことです。

クリティカルシンキングには、
修理型と改修型の2種類あります。

修理型は、人間の思考はどういう
間違いを犯しやすいかを学び、
その間違いを避ける方法を考える
壊れたところを修理する方式。

改修型は、どういうルールに従って
思考すると正しい結論につながるか、
という基礎部分から考えていく、
土台から建て直す方式。

哲学は基本的に改修型になります。

しかし、本書では改修型のイメージを
ベースにしつつ、修理と部分的改修を
うまく組み合わせながら、できる限り
筋の通った思考法を目指します。

言わばハイブリッド型のクリティカル
シンキングです。

著者は京都大学大学院文学研究科
准教授の伊勢田哲治さん。

本書では、次の5つのステップで
哲学的クリティカルシンキングを
身につけます。

ステップ1:心構え

ここでは2つの心構えを学びます。

1つは、疑う習慣を身につけることと、
自分が間違えたと思ったら立場を
変えるのをためらわないことと
いった「疑い」への心構え。

もう1つは、クリティカルシンキングは
正解ではなくましな回答を探す考え方で、
協力的な共同作業であるという認識を
持つこと。

ステップ2:議論の明確化

前提と推論の構造をはっきりさせ、
議論を特定させます。

そのために利用するツールとして、
本書では、思いやりの原理と協調原理、
暗黙の前提の洗い出し、思考実験
などが紹介されていました。

ステップ3:さまざまな文脈

クリティカルシンキングが行われる
文脈を大きく4つに分けて解説します。

哲学的な文脈、科学的な文脈、
倫理的な文脈、日常的な文脈。

それぞれの文脈において使うツール
が異なります。

ステップ4:前提の検討

ここではさまざまなタイプの懐疑主義
を用います。

ピュロン主義、デカルト的懐疑、
ヒューム流の懐疑、倫理的懐疑主義など。

ステップ5:推論の検討

ここでは論理学における推論と、
それ以外の領域での推論を扱います。

論理学では三段論法など、演繹的に
妥当な推論を重視します。

それ以外の領域の推論としては、
分配と過ちと結合の過ち、
権威からの議論と対人話法、
事例による議論、二分法的議論
などを扱います。

実は、この5つのステップは本書の
章立てとは異なっています。

本書では序章から第5章まで、
様々な角度でクリティカルシンキング
を検討したため、最後にあらためて
一連の流れとして、この5つに整理
したものです。

本書は、説明がわかりやすく、
かつ話題が豊富で、飽きずに最後まで
読むことができます。

フェイクニュースが飛び交う時代に
なって、執筆された当時よりも、
存在価値が高まっていると思います。

この本から何を活かすか?

価値観の問題になると、唯一絶対の
正解というものは存在しません。

あくまで目指すのは、与えられた
条件下での「少しでもましな答え」。

その価値主張のクリティカルシンキング
では、次の4つの視点が必要となります。

1. 基本的な言葉の意味を明確にする
2. 事実関係を確認する
3. 同じ理由を色々な場面に当てはめる
4. 出発点として利用できる一致点を
 見つける

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

関連記事

気に入ったらシェア!

ikadoku
この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

コメント0件

コメントはまだありません