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岩井克人「欲望の貨幣論」を語る

2020年04月24日
経済・行動経済学 0

岩井克人「欲望の貨幣論」を語る

満足度★★★★
付箋数:26

  「やめられない、止まらない、欲望が
  欲望を生む世界。欲望の資本主義。」

2016年春、このフレーズから放送が
始まったNHKの異色教養ドキュメンタリー
欲望の資本主義』。

その番組から特別編としてスピンオフで
企画されたのが、『欲望の貨幣論』です。

同番組で中心的な役割を果たし、
貨幣論』を語ったのが、経済学者の
岩井克人さんでした。

本書は岩井さんの言葉を中心にまとめ、
書籍化したものです。

岩井さんが貨幣についての研究を
本格的に始めたのは、1980年代初め頃。

そしてその集大成とも言うべき書物、
貨幣論』を出版したのが1993年。

当時はインターネットが生まれた
ばかりでしたが、岩井さんは
その本の中で、すでに電子情報を
使った貨幣について論じていました。

今のデジタル通貨が流通する世の中は、
岩井さんが考えた理論に現実がやっと
追いついてきた状態です。

岩井さんは、「おカネは純粋な投機」
だと考えます。

私たちは普段、おカネを使っていて、
そんな感覚がないので、実に意外な
感じがします。

なぜ、おカネは投機なのでしょうか?

まず、投機は次のように定義されます。

  「自分がモノとして使うためではなく、
  将来、ほかの人に売るために何かを
  買うこと」

一般に私たちは、働いておカネを
得ようとします。

しかし、私たちがおカネを得たいのは、
おカネ自体をモノとして使うためでは
ありません。

他の人におカネを売って、自分が
欲しい物を手に入れるため。

つまり、今、おカネを得る理由は、
将来、他の人に転売するためと、
言い換えることができます。

私たちは、おカネが将来もおカネ
としての価値を持ち続けることに
賭けて、「投機」しているのです。

  「おカネを使うこと―すなわち、
  それ自体何の使い道もないおカネを
  おカネとして流通させるという
  行為こそ、この世の中に存在する
   “もっとも純粋な投機” であると
  言えるのです。」

そのおカネを基礎として経済活動する
資本主義社会は、おカネが最も純粋な
投機対象であるがゆえに、本質的に
非常に不安定な社会なのです。

岩井さんの話の中で、最も私の興味を
引いたのは、波乱万丈の人生を歩んだ
ジョン・ローさんの話でした。

ローさんは、スコットランド出身の
経済思想家で、最後はフランスを
破滅に追いやったと酷評される人物。

若い頃に女性問題でいざこざを起こし、
決闘で相手を殺したため投獄されます。

しかし、そこから脱獄を果たし、
ヨーロッパを放浪して、賭博場を
転々と渡り歩き荒稼ぎします。

そんな放浪する中で、ローさんは
貨幣に関する新たな理論と貨幣供給の
新システムを考案します。

それが貨幣の自己循環論法。

その後、フランスに渡り、古くからの
賭博仲間だった、摂政オルレアン公に
重用されます。

ローさんは、フランス王立銀行の総裁、
そして財務大臣に任命されます。

そこでフランス初の貨幣を発行するも、
「ミシシッピ・バブル」を引き起こし、
フランス経済は破綻します。

本書で、岩井さんはローさんの半生と
貨幣の自己循環論法を考案した功績を
熱く語っています。

本書は、古くて新しい『貨幣論』を
わかりやすく説明された良書で、
多くの方におすすめしたい本です。

この本から何を活かすか?

岩井さんは、ビットコインは貨幣に
なる可能性は99%ないと考えています。

それは貨幣の基本定理が破られて
しまったからです。

ビットコインは、私たちが普段使う
意味での「投機商品」になったため、
貨幣にはなれないようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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