活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語

2020年04月22日
科学・生活 0

進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語 (ブルーバックス)

満足度★★★★★
付箋数:28

20世紀科学史における最重要人物
と言われる、フォン・ノイマンさん。

ハンガリー出身のアメリカの数学者で、
マンハッタン計画に参加したことでも
知られています。

彼は20世紀半ば、自らのコピーを
作る能力を持つマシン、「自己増殖
オートマトン」というモデルを考案
しました。

ノイマンさんの目論みは、強力な
計算機を作り出すことでした。

例えば、無限に複雑なマシンを
作る能力をもつマシンの設計です。

自己を正確に複製するマシンの
存在は、理論上これが可能である
ことを示していました。

しかし、自己増殖オートマトン
にはもうひとつ別の、特別な意味が
ありました。

それは複製の際に少しだけエラーが
起き、自己の不正確なコピーが
できる場合があることでした。

このとき、これらのマシンに必ず
起こる変化が、「進化」でした。

ノイマンさんが考えた、自己増殖
オートマトンは、あくまで理論上の
仮想のシステム。

しかし、実はこの性質を備えた
システムが地球上に存在します。

それが、「私たち」。

人間を含む生物こそが、リアルな
世界の、しかも不正確な自己増殖
オートマトンなのです。

こんなオープニングから始まる本書。

次から次へと読者の知的好奇心を
刺激するストリーテリングで、
私たちを「進化」の世界に誘います。

著者は、東北大学東北アジア
研究センター教授の千葉聡さん。

東北大学大学院生命科学研究科
教授も兼任している方です。

著書『歌うカタツムリ』で第71回
毎日出版文化賞・自然科学部門を
受賞した稀代の書き手。

計算されつくした秀逸な文体で、
どんどん引き込まれていきます。

千葉さんが本書で目的とするのは、
「進化とは何か」に答えを出す
ことではありません。

  「本書は、 “進化とは?” という
  疑問に駆られた読者の好奇心を
  高めることを目論んでいる。
  一方、その疑問に明確な回答を
  与えて、読者の好奇心に幕を
  引いてしまうことは意図して
  いない。
  そもそもチャールズ・ダーウィン
  の時代以来、その答えを巡って
  膨大な数の研究者たちが積み重ね
  てきたアイディアの体系を、
  たかが250ページほどの本1冊に
  示すことなど、私には無理な
  相談である。」

ということで、本書は結論だけ
知りたいという方には、あまり
適していません。

しかし、新たな謎に遭遇して、
考えることの楽しみを再発見し、
ワクワクできるような方には、
絶品の本です。

「進化のからくり」の物語は、
小さな孤島でのダーウィンフィンチ
の研究から始まります。

それはピーター・グラント博士と、
ローズマリー・グラント博士の
夫婦の研究でした。

彼らは、ダーウィンさんが着想した
長大な進化の考えを、立証しました。

それは、ダーウィンさんが予想も
しなかった、40年ほどの短期間での
進化の証明でした。

千葉さんの目論み通り、本書は、
間違いなく、「進化学ファン」を
増やす傑作です。

私は外出自粛のおかげで、本書に
出会えたことに、感謝しました。

この本から何を活かすか?

本書は、あまりに面白過ぎたため、
読み終えた寂しさがありました。

しかし、私は千葉さんの前著が
未読だったことを思い出しました。

今週末は、『歌うカタツムリ』を
読むことを楽しみにします。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
関連記事

気に入ったらシェア!

ikadoku
この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

コメント0件

コメントはまだありません