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ikadoku

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EU離脱

2020年04月03日
社会・国家・国際情勢 0

EU離脱 (ちくま新書)

満足度★★★
付箋数:23

これまで3度延期され、混迷していた、
いわゆるブレグジット問題。

しかし、2020年1月31日午後11時、
イギリスはこれまで47年間加盟していた
EUを離脱しました。

ことの始まりは、2016年に行われた
国民投票でした。

  「2016年6月13日のイギリスにおける
  EU残留の是非を問う国民投票の結果は、
  世界に衝撃をもたらした。
  最終結果は離脱が51.9%、残留が48.1%、
  票数の差は約130万票だった。
  そもそも離脱派と残留派の支持率は
  拮抗しており、結果がどちらに転ぶ
  かは予測できなかった。」

保守党のメイ首相の下で行われた
EUとの離脱交渉は迷走が続き、
ジョンソン首相に交代しました。

3度の延期の末、ついにイギリスは
正式なEU離脱に至りました。

離脱に際し、ジョンソン首相は演説で、
次のように述べました。

  「多くの人にとって、これは大きな
  希望の瞬間、実現しないと思っていた
  瞬間だ」

なぜ、こんなことになったのか?

本書はブレクジットのこれまでの経緯と、
これからの課題を解説した本です。

著者は、慶應義塾大学総合政策学部
准教授の鶴岡路人さん。

  「本書は、 “イギリス本” ではなく、
  イギリスとともにEUを分析することを
  目的としている。これらの視点に立ち、
  以下本書では、ブレクジットはなぜ
  これほどまでの混迷を招くことに
  なったのか、そして、この過程に
  おいて明らかないなったのは何だった
  のかを中心に考えていきたい。
  そこで浮かび上がるのは、イギリス政治
  の現状であるとともにEUの本質である。」

本書は、政治的には非常に中立の立場で、
ブレクジット問題を客観的かつ正確に
分析した本です。

第1章では、「ボタンの掛け違い」の
原因を探ります。

第2章と第3章では、メイ政権が退陣に
至った経緯と、ジョンソン政権が誕生する
までの経過を分析します。

第4章では、「主権を取り戻す」という、
イギリスのEU離脱派が主張し続けてきた
議論を検証します。

第5章では、ブレクジットにおいて、
最も困難な問題になった北アイルランド
国境問題を改めて検証。

第6章では、再度の国民投票や離脱撤回
に関する議論を振り返ります。

第7章では、離脱後のEUとイギリスの
関係を展望します。

第8章では、イギリスが離脱した後の
EUと、EUから離脱したイギリスの、
それぞれの将来を考えます。

終章では、ブレクジットが意味する
ことを、イギリス、EU、国際秩序の
各レベルで改めて整理しています。

イギリスのEU離脱に関しては多くの
専門家が、さまざまレポートを出して
いますが、この本1冊あれば十分です。

難しいことはいいから、ポイントだけ
かいつまんで「3分」で知りたい
という方には、正直、不向きです。

しかし、背景や今後の影響も含めて、
ちゃんとブレクジット問題を理解したい
という方には最適な本だと思います。

個人的には、EU離脱に関して、
イギリスの若年層の意見があまり反映
していないことが残念です。

高齢層の持つプライドが、若年層の
実質的な未来を奪ったという見方は、
まさにその通りだと感じます。

私たち日本人から見ても、イギリスは
ヨーロッパではないと主張するのは、
かなり違和感がありますね。

この本から何を活かすか?

本書では、政治的な立場を抜きにして
分析してるとはいうものの、もちろん
鶴岡さん自身のブレクジットについての
考えはあります。

それは、イギリスのEU離脱は、
イギリス自身の利益にもEUの利益にも
ならないというものです。

私もこの考えに同意します。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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