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ikadoku

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深海――極限の世界 生命と地球の謎に迫る

2020年03月19日
科学・生活 0

深海――極限の世界 生命と地球の謎に迫る (ブルーバックス)

満足度★★★★
付箋数:26

地球の生態系は、太陽光がエネルギー源
となり、植物の光合成で支えられています。

しかし、その光合成の生態系とは別の
生態系があることはご存知でしょうか?

  「1977年、世界が驚く大発見がありました。
  東太平洋のガラパゴス沖の水深約2500m
  の海底で熱水噴出孔を初めて発見した
  のです。その2年後、熱水噴出孔の周り
  には、二枚貝や環形動物などの生物が
  周囲の海底に比べて非常に高い密度で
  生息することがわかりました。」

太陽光が届かず光合成ができない
「深海」に生物群集が存在している。

それは光合成とは違う生態系がある
ことを意味します。

これを「化学合成生態系」と呼びます。

光合成の代わりに1次生産を支える源は、
海水に含まれる還元物質(硫化水素や
水素など)や炭素1つから構成される
有機物のメタンです。

これら還元物質やメタンが酸化される
ことで化学エネルギーが生じ、
それを使って有機物が合成されます。

この合成は化学合成と呼ばれ、
古細菌や細菌などの化学合成原核生物
が植物のように1次生産者となります。

そして、化学合成原核生物を栄養源に
する動物が周囲に集まり、生態系が
形成されているのです。

この生態系で生息している動物の多くは、
その体内に化学合成細菌を宿しています。

これらの動物の多くは、口や消化器官
が働かないため、自らの栄養源を
化学合成細菌からもらって生きています。

その後、化学合成生態系は、
熱水噴出孔の周り(熱水域)や周囲の
海水の温度とほぼ変わらない温度の
海水が湧き出す場所(勇水域)に存在
することがわかりました。

この化学合成生態系の発見は、
20世紀における海洋生物学上の
最大の発見の1つになりました。

そして、深海の化学合成生態系の研究は
とてつもない壮大な科学テーマに
展開していきました。

それは、なぜか?

実は、化学合成生態系を研究することで、
私たち全人類が知りたいと思っている
謎を解明できる可能性があるからです。

それは生命の起源と地球外生命の謎です。

生命が生み出される条件を考えながら、
今の地球にその条件を当てはめると、
化学合成生態系がつくられる熱水噴出孔
に行き着くとも考えられています。

また、特定の化学物質があれば生命は
存在できることがわかったので、
他の惑星にも生物が存在できると
考えられるようになりました。

本書は、「最後のフロンティア」とも
いわれる、「深海」について解説した本。

生物や地球のしくみ、地震との関連や
人類との関わりについて解説します。

海洋研究開発機構(JAMSTEC)の多くの
研究員の方が、それぞれの専門分野に
ついて分担で執筆しています。

それを同機構の上席研究員である
藤倉克則さんと木村純一さんが
まとめました。

海は、地球の表面積の7割を占め、
私たち人類にとっては、欠くことの
できない存在です。

また、日本は領海と排他的経済水域を
合わせると、世界第6位の海の面積を
持つ、有数の海洋国家です。

それだけ生活にも密接している海ですが、
深海については、陸域に比べると、
まだまだわからないことが多くあります。

本書では、大深度有人潜水調査船の
「しんかい6500」などの調査でわかった
研究結果をもとに深海の謎に迫ります。

ちょっと専門的な部分もありますが、
ここまで深海のすべてを語った一般書は
他に見当たりません。

この本から何を活かすか?

地震の原因は、地球の表面を覆う
プレートの運動と深く関わっています。

いくつもの層に分かれたプレートが、
独立して運動することで、さまざまな
地質現象が起こると考えるのが、
プレートテクトニクスという学説。

そのプレートテクトニクスは、
深海で起こっています。

そのため、深海を研究することは、
地震のメカニズム解明にもつながって
いるのです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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