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ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

日本語の個性 改版

2020年03月11日
交渉術・伝える力・論理・人脈 0

日本語の個性 改版 (中公新書)

満足度★★★★
付箋数:26

  「ながい間、よそばかり見ていたから、
  われわれには日本語のことがよく
  わかっていない。改めて自分の言葉、
  まわりの言葉を注意してみると、
  これまでは気にならなかったことが
  あれもこれも大きな問題のように
  思われてくる。それでなくても、
  現代は言語の時代だと言われる。
  言葉が気にならないという人があれば、
  そのほうがおかしい。とりわけ、
  従来はあまり重視されなかった
  話し言葉が興味ある可能性を秘めて
  いるように思える。
  この本は、そういうことを考えている
  ひとりの人間が、日本語について、
  あれこれエッセイ風に考えをのべた
  ものである。」

あれこれ考えたひとりの人間というのは、
外山滋比古さんです。

お茶の水女子大学名誉教授を務める、
96歳(2020年3月現在)、いまだ現役。

外山さんと言えば『思考の整理学』。

1983年に刊行されて以来、東大生や
京大生に根強く支持され続けている
35年以上売れ続けるロングセラーです。

そんな外山さんも数年前に奥様を亡くし、
今は介護付き有料老人ホームで暮らして
いるようですが、まだまだ元気です。

さて、本書は1976年に初版が刊行され、
32版まで重ねられた後、2020年2月に
改版が発行された、ロングセラーです。

私たちが普段使う日本語に潜んでいる
盲点を、英語表現と比較しながら
あぶり出します。

まさに英文学者ならではの視点ですね。

改版されたとはいえ、描かれている
日常は現代とはずいぶん違っています。

ロッキード事件なんかも登場して、
45年近く前に書かれた時代を感じさせます。

しかし、日本語の言語構造に切り込む
ところや、視点の鋭さは今読んでも
新鮮な驚きがあります。

本質的なところでは古さを感じさせず、
軽やかなエッセイになっています。

何より、軽快な中にも知的好奇心を
刺激する筆力があり、さすが知の巨人と
言ったところでしょうか。

個人的に面白かったのは、日本語を
「室内語」と捉えた考察です。

  「日本語は室内語として洗練され
  発達してきた言葉である。
  方丈の室内でしめやかにもの語り
  するにはこんなに適したやわらかな
  言葉はないけれども、公衆を前に
  して演説をするにはあまり適して
  いない。福沢諭吉は日本語で
  スピーチすることは絶望的だと
  すら述懐した。」

室内語である日本語は、独白的表現が
よく発達するようになりました。

それは短ければ短いほど、含蓄が
大きいように感じられる表現です。

それが、短歌や俳句へつながりました。

よく日本語は情緒的と言われることが
ありますが、それは室内語的な性格が
そうさせているのです。

しかし、現在は日本語も戸外化し、
人前で話すには良くなってきたものの、
言葉の乱れの原因にもつながっています。

日本語が本来持っていた美しさが
失われつつあります。

現代の私たちから見ると、ネットや
SNSなどの登場により、更に日本語が
変質し、ますます違った言葉に
なってきている印象があります。

普段、意識して使っていない言葉も
改めてその成り立ちや背景を知ると、
日本語が元々持っていた豊かさを
取り戻す機会にすることができます。

この本から何を活かすか?

  「われわれは文章を書くときに
  段落(パラグラフ)のことをあまり
  気にしない。すこし長くなったから、
  このあたりで改行しようか、
  というので、新しいパラグラフを
  始めたりする。段落の感覚という
  ものはなきにひとしい。」

スピーチにしても文章にしても、
パラグラフがあるかどうかで、
相手への伝わりやすさが違ってきます。

今のような国際化した社会では、
日本語でもパラグラフを意識した
話し方・書き方が求められている
のかもしれません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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