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知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利


知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

満足度★★★★
付箋数:27

野中郁次郎さんの30年以上に渡る、
あの大傑作シリーズが遂に完結しました。

  「本書は、戦略の本質を探求する
  われわれの四度目の試みである。
  一度目は、日本軍の失敗から、
  戦略不在の原因と結果を論じた。
  二度目は、戦いの逆転現象から、
  戦略の本質を導き出そうとした。
  そこで気づかされたのは、戦略を実践
  する人間の資質・能力がいかに重要
  な部分を占めるか、ということであった。
  したがって、三度目は、戦略を実践する
  国家経営に焦点を定め、彼らの優れた
  資質・能力の核心がどのようなところに
  あるのかを考察した。
  四度目の試みとしての本書は、
  あらためて本来の戦略の実践分野
  である軍事に立ち戻り、もう一度、
  新たな視点から、戦略の本質の洞察を
  めざす。」

1984年刊行の『失敗の本質』。
2005年刊行の『戦略の本質』。
2014年刊行の『国家経営の本質』。

本書は、それに続く「本質シリーズ」の
第4弾です。

私は、このシリーズは野中さんの
ライフワークだと思っていました。

行けるところまで行くのかと思って
いましたが、本書で一旦完結です。

このシリーズの目的は「戦略」の本質を
明らかにすること。

本書では、もともと戦略が使われてきた
軍事の分野に立ち戻って事例を見ます。

しかも、圧倒的に不利な状況から
逆転をなしえたケースを厳選しています。

その方が、戦略の役割が鮮明に表れる
からです。

選ばれたのは、次の4つの戦争です。

第二次世界大戦における独ソ戦、
バトル・オブ・ブリテンと大西洋の戦い、
第一次インドシナ戦争とベトナム戦争、
イラク戦争と対反乱作戦。

この4つの戦いから、逆転をなしえた
勝者に共通する「知略」を解明します。

野中さんらは日本のケースも
取り上げたかったようですが、
残念ながら、第二次世界大戦における
日本の戦いに逆転はありませんでした。

軍事戦略とは、究極的には知力の
勝負になります。

だからこそ、本書では、戦略の本質と
しての「知略」に着目しています。

知略とは、戦略現象を「二項動態」的
に把握したうえで、情況と文脈に応じて
具体的戦略を実践していくことと
定義されています。

二項動態とは、二項対立とは異なる構造。

軍事戦略では、一般的に攻撃と防御、
機動戦と消耗戦、直接アプローチと
間接アプローチといったように
二項対立的なとらえかたをします。

しかし、現実の戦争の中では、
それら2つが連続して起こったり、
局面で入れ替わることがあります。

そのため、どちらか一方に固執する
のではなく、時と場合によって使い分け、
総合的使うのが二項動態です。

本書では、4つの戦争の事例を見た後、
知略モデルの構築を試みています。

導かれる、知略モデルや要件は、
企業での戦略構築はもちろん、
国家レベルでの戦略構築の際も、
是非、活用したいものです。

本書は過去3作と同様、十分に時間を
かけて研究された質実剛健な本です。

スキマ時間で斜め読みすのでのはなく、
年末年始のまとまった休みを利用して、
じっくり読むことをオススメしたい
一冊です。

この本から何を活かすか?

  「『孫子』の伝統的戦略観を駆使する
  中国が “強国” として台頭し、
  超大国としての余裕と自信を失いつつ
  あるかのように見えるアメリカとの
  間で熾烈な覇権争いを繰り広げている。
  ヨーロッパは不安定化し、中東情勢は
  依然として予測不可能である。
  こうした国際情勢に、はたして日本は
  国家レベルで対応できているのだろうか。」

本書で、過去に知略を駆使した日本の
リーダーとして名前が挙がっているのが、
吉田茂さんと中曽根康弘さんです。

日本にはこの2人に続く、知略をめぐらす
リーダーの出現が望まれます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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