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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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驕る権力、煽るメディア


驕る権力、煽るメディア

満足度★★★
付箋数:17

大辞林によると、「ジャーナリズム」の
説明には、次のように書かれています。

 「新聞・雑誌・テレビ・ラジオなど時事的な
 問題の報道・解説を行う組織や人の総体。
 また、それを通じて行われる活動。」

そして、ジャーナリズムの役割としては、
「事実を可能な限り客観的に伝えること」や
「権力の監視」などと考えられています。

果たして、現代の日本において、
ジャーナリズムは正しく機能しているのか?

政府や権力に甘く見られ、圧力をかければ
すぐにでも屈する状態のようにも見えます。

メディアによっては、嘘の報道はなくても、
偏りのある報道を行い、権力が意図する
方向に、世論を導こうとしてはいない
でしょうか。

  「マスメディアの凋落が伝えられて久しい。
  (中略)マスメディアとはジャーナリズム
  の舞台である。とすれば安易に滅びて
  もらうわけにはいかない。
  健全なジャーナリズムが機能しない
  ところに、民主主義は成立し得ないはず
  だから。(中略)
  読者の多くは、すでにお気づきのはずである。
  こうしている間にも、ジャーナリズムの
  チェック機能が失われつつある状況を
  よいことに、驕り高ぶった権力が、
  暴走している実態を、貧して鈍した
  マスメディアが、会社組織としての
  生き残りだけを最優先して権力に迎合し、
  人々をむしろ彼らに都合よく操っていく
  役割を買って出始めている無残を―。」

本書は、マスメディアと権力をめぐる
状況を、報道をもとにまとめた本です。

著者はフリーで活動するジャーナリストの
斎藤貴男さんです。

ベースになっているのは、斎藤さんが
「全国商工新聞」に隔週で連載してきた
コラム「メディアの深層」です。

過去5年間のメディアと権力に関する
コラムをテーマ別にまとめました。

ただ、さすがに5年も経っている報道は、
メディアの本質に関わる内容であっても、
古い印象があることは否めません。

そんなこともあり、本書の刊行にあたり、
各コラムには、ニュースの後日談として
「もう一言」が追加されています。

本書のコラムで私の目を引いたのは、
個人情報の提供に関して世代間の
ギャップがあるという内容のものです。

  「自分自身の個人情報を企業に提供
  したくない人は全体の4割。
  年代別では60歳代が53%で過半数に
  達したというように、年齢が上がるに
  つれて抵抗が強く、逆に例えば18~20
  歳代は24%にとどまるなど、若い層
  ほど寛容な傾向が明らかになった。」

この結果について斎藤さんは、
ネットを支える企業への不信感が
差になって出ていると解釈しています。

中高年は、高度成長期の公害や贈収賄、
バブル期の地上げなどの経験則があって
企業への警戒心が強くなっている。

一方、若い世代はそういた苦い経験
がないので、企業に対して無防備でいる。

こうした世代間のギャップは、
ジャーナリズムに求める質に関しても
影響を及ぼすことを懸念しています。

個人的には、この世代間のギャップは
企業への信頼度の違いというよりも、
ネットリテラシーの違いのように
思えます。

あまりSNSなどを活用しない60歳代は、
その利便性を感じることも少なく、
またネット上でのリスク管理も苦手。

一方、若い世代は個人情報を提供する
代償として、利便性を手に入れ、
積極的にネットと付き合っている。

人は見えないものには恐怖を感じるので、
高齢者が必要以上に、個人情報の提供を
恐れ入るように感じることもあります。

この本から何を活かすか?

斎藤さんは、日本経済新聞が2018年8月30日
に掲載した「駅ナカ雑誌消滅の危機」の
記事を読んで、ある小説を連想しています。

それはレイ・ブラッドベリさんが
1953年に発表した『華氏451度』です。

本の所持や読書が禁じられた、近未来
における人間模様を描いたSF小説。

フランソワ・トリュフォー監督
映画化もしている古典的作品ですね。

駅ナカ雑誌の消滅が焚書かどうかは
別にして、『華氏451度』は新訳も
出ているので、再読してみたいです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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