ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式
ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式
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山口 周 ダイヤモンド社 2019年07月05日
満足度★★★★
付箋数:26
「本書のメッセージをまとめれば、
次のようになります。
20世紀の後半から21世紀の初頭にかけて
高く評価されてきた、従順で、論理的で、
勤勉で、責任感の強い、いわゆる
“優秀な人材” は、今後 “オールドタイプ”
として急速に価値を失っていくことに
なるでしょう。
一方、このようなオールドタイプに対置
される、自由で、直感的で、わがままで、
好奇心の強い人材= “ニュータイプ” が、
今後は大きな価値を生み出し、評価され、
本質的な意味での “豊かな人生” を
送ることになるでしょう。」
本書は、これからの時代を生き抜くために、
私たちの思考や行動様式をアップデート
するための本です。
著者は、『世界のエリートはなぜ
「美意識」を鍛えるのか?
独立研究者の山口周さんです。
まず、私たちに求められるのは、
20世紀に良しとされた価値観を捨てる
ことです。
その1つが、マルコム・グラッドウェルさん
が『天才! 成功する人々の法則
提唱した「1万時間の法則」です。
これは、「1万時間の練習を積み重ねれば、
あなたも一流になれます」という法則です。
しかし、山口さんは、これは子どもが
よくやる「逆の命題」のミスと指摘して
います。
[命題1] 天才モーツアルトも努力していた
この命題が真だとすると、これによって
導かれる「対偶」は何か?
グラッドウェルさんが導いたのは、
次の命題でした。
[命題2] 努力すればモーツアルトのような
天才になれる
これは命題の証明から考えると、
明らかな間違いであることがわかります。
正しくは、次の命題となります。
[命題3] 努力なしにモーツアルトのような
天才にはなれない。
つまり1万時間の練習は必要条件であって、
十分条件ではないことを意味します。
「グラッドウェルの主張する “1万時間
の法則” が、いかに人をミスリードする
タチの悪い主張かということがよく
わかります。」
ここで山口さんが言っているのは、
「努力することは無駄」ということでは
ありません。
オールドタイプの価値観では、
今いる場所で踏ん張って努力をします。
しかし、ニュータイプの価値観では、
勝てる場所にポジショニングしてから
努力をするのです。
これ以外にも本書では、次のような
思考・行動様式の変更を求めています。
[オールドタイプ] → [ニュータイプ]
正解を出す → 問題を探す
予測する → 構想する
KPIで管理する → 意味を与える
生産性を上げる → 遊びを盛り込む
ルールに従う → 自らの道徳観に従う
1つの組織に留まる → 組織間を越境する
綿密に計画して実行 → とりあえず試す
奪い、独占する → 与え、共有する
経験に頼る → 学習能力に頼る
山口さんが言っていることが、
すべて正解かどうかはわかりませんが、
1つ1つの説明は納得感の高いものでした。
個人的には過去の価値観を全否定する
必要はないと考えます。
しかし、過去の価値観だけでは、
これからの時代を生き抜いていけない
のも事実です。
本書は、新しい思考や行動様式を
手に入れるヒントになる本だと思います。

ニュータイプのキャリア戦略とは、
どういうものか?
これまでの時代は、1つの分野に絞って、
そこで粘り強く努力して専門性を高める
ことが良いとされてきました。
しかし、今は何が「良い」かが、
試さないとわからない時代です。
そのため、ニュータイプに必要な
キャリア戦略は、とりあえず試して、
ダメならまた試すこと。
成功は確率論なので、大量に試して、
うまくいったものを残すのが正解。
そのため、時間が有限である以上、
「うまくやめる」ことも求められます。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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