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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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世にも危険な医療の世界史


世にも危険な医療の世界史

満足度★★★★★
付箋数:28

  「通常はインチキ療法というと、
  詐欺目的で治療を行うことや宣伝する
  ことを意味するが、なかには効果がある
  と信じて宣伝する人もいる。(中略)
  何百年も前のことだったために、
  科学的な手法がまだ文化に根づいて
  いなかったケースもある。
  現代の私たちが見るとくだらない
  治療法はたくさんある。
  イタチの睾丸が妊娠に効く?
  出血を治療するためには瀉血する?
  失恋の痛手を癒すために熱々の
  焼きごてをあてる? ―――
  どれも実際に行われていたことだ。」

本書は、科学が未発達だったがゆえに、
これまで人類が行ってきたトンデモ治療
の歴史を綴った本。

すごく面白い本に出会ったと思うと
同時に、今の時代に生きていて良かった
と実感できる本です。

著者は、内科医のリディア・ケインさん
とフリージャーナリストのネイト・
ピーターセンさんです。

表紙に使われている絵は、17世紀に
梅毒患者が受けるスパ治療を描いたもの。

当時、水銀を吸い込むと体に良いと
考えられていました。

中央に描かれている手榴弾のような
形の釜で行われるのは、裸の患者を
水銀入の釜に入れる、蒸し風呂療法です。

こうした治療が行われていたのは、
古代ローマの医学者、ガレノスさんが
提唱した「四体液説」が信じられて
いたからです。

四体液説とは、人間の体液は、血液、
粘液、黄胆汁、黒胆汁の4種類からなり、
このバランスが崩れると病気になる
という考え方です。

そのため、病気を治すためには、
嘔吐、下痢、発汗、唾液を過剰に分泌
させて、四体液のバランスを整える
治療が行われていました。

水銀中毒になると、口から大量の唾液が
分泌されるので、それで病気が治ると
信じられていました。

実は、米大統領のリンカーンさんも
その犠牲者の一人でした。

大統領になる前に、リンカーンさんは
気分障害、頭痛、便秘などの症状に
悩まされていました。

そこで処方されたのが、水銀入の丸薬。

しばらくこれを服用していましたが、
さすがにその丸薬を飲むと症状が悪化
するだけと気づき、ホワイトハウスに
入ってからは服用量を減らしたようです。

他にも本書では、以下のような治療法が
紹介されています。

 ・ラドンが溶け込んだ放射性飲料水を
  がぶ飲み!

 ・溺れて意識を失ったら、タバコを
  尻に挿し込んで蘇生!

 ・大量に出血した患者には
  ブランデーを生で注射!

 ・ペストになったら粘土を食べて解毒!

 ・ヒルを肛門に突っ込んで内臓から瀉血!

 ・ヤギの睾丸を身体に移植して若返り!

まさにトンデモ治療のオンパレードです。

これらの治療は、詐欺目的だったり、
悪意をもって行われた訳ではないのが、
逆に怖いところです。

ある治療を行って効果があるように
見ると、本当は別の理由で回復して
いても、そのトンデモ治療が信じられ、
まかり通っていました。

ひょっとすると、私たちが今、
効果があると信じている治療法も、
100年後の未来では、トンデモ治療に
見えるのかもしれません。

本書は、扱っている題材もさることながら、
著者の、皮肉とユーモア溢れる語り口が
本書をより一層魅力的なものにしています。

アメリカで出版されて大きな反響を呼んだ
というのも納得できる一冊。

私の中では驚きの連続で、今年の上半期で
一番に推薦したい本です。

この本から何を活かすか?

同じ文藝春秋からの出版で似たような
タイトルの本がありました。

 『世にも奇妙な人体実験の歴史

著者が違うので、本書と同じように
面白いかどうかわかりませんが、
こちらの本も読んでみようと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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