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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した


アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

満足度★★★★
付箋数:25

  「現在、イギリスでは約20人に1人が
  最低賃金で生活している。そのような人々
  の多くは、かつて産業と製造業の中心地
  として栄えた町や大都市に暮らす。
  国内で生まれたイギリス人も多いものの、
  最近では海外からの移民も増え続けている。
  今日のイギリスの低賃金労働の実態に
  ついて探るためにはどうすればいいか?
  私が出した答えは、自分がその一部に
  なるというものだった。」

本書は、イギリスのジャーナリスト、
ジェームズ・ブラッドワースさんによる
最低賃金労働の職場への潜入レポート。

ただの取材ではなく、一般労働者といて、
本当に仕事に就いての実体験です。

ブラッドワースさんが潜入に選んだ現場は、
アマゾンの倉庫、訪問介護、コールセンター、
そしてウーバーの運転手です。

この中で、注目すべきなのは、
やはり本書のタイトルにもなっている、
「アマゾン」と「ウーバー」でしょう。

それは21世紀のニュー・エコノミーの
旗手として注目されている企業だからです。

これらの企業から、便利で安価なサービスを
受ける側としては、本当に有り難い限りです。

その一方で、裏でサービスを支える側の
人たちの労働実態はどうなのか?

本書はそこにスポットライトを当て、
克明にレポートします。

日本でも、アマゾンの配送を支えた
ヤマト運輸などの問題が、以前に取り沙汰
されましたが、同じような問題が、
他にも起こっていることがよくわかります。

光と陰の、光の部分が明るく注目されるほど、
陰の部分は闇の深さを増していくようです。

  「結局のところ、これは21世紀の労働階級
  の生活についての本だ。多くの人にとって、
  かつては誇りの源だった “仕事” は、
  尊厳と人間性を奪おうとする容赦ない
  攻撃に変わった。本書は、その変化を
  記録しようとする試みである。」

アマゾンの倉庫が進出してきたときに、
地元では雇用機会が増えたとして、
両手を挙げて歓迎しました。

しかし、ワンクリックの向こう側に
あったのは、「懲罰ポイント」などの
非人道的な労働実態でした。

そうした状況が明らかになるにつれ、
地元の労働者は逃げ出していきました。

最後にアマゾンの倉庫に残ったのは、
最低賃金で働くしか選択肢のない、
移民労働者だけでした。

また、簡単に運転者になれるウーバーでは、
「自分の好きなように働けます」と説明を
受けます。

しかし、その実態は、ギグ・エコノミー
という新たな搾取でした。

価格競争でドライバーの尊厳は失われ、
乗客による評価システムによって、
がんじがらめにされていきます。

そこで見えてきたのは、『一九八四年』の
著者、ジョージ・オーウェルさんが描いた
徹底した監視管理社会の姿でした。

本書でレポートされているのは、
ブリクジットが議論を呼んでいる
英国特有の問題ではありません。

日本では、アマゾンやウーバーでの
労働環境は同じではないかもしれませんが、
訪問介護やコールセンターの実態は
大差がないように感じます。

そして労働力不足から、外国人労働者に
頼らざるを得ない日本の将来は、
移民労働者問題に悩む現在の英国の姿に
重ねて見ることができます。

本書は、優れたルポルタージュなので、
一読の価値がある本だと思います。

2019年5月8日の時点では、紙の本と
Kindle本の価格差が1300円以上あるので、
Kindleで読むことをお薦めしたい。

この本から何を活かすか?

  「一部のコールセンターでは、大規模な
  監視システムが利用されている。
  従業員のすべての行動が監視、追跡、
  記録されるこの管理システムについて、
  学者のスー・ファーニーとデビット・
  メトカルフは “電子式パノプティコン” 
  と揶揄した。」

パノプティコンとは、18世紀に考案された
完全な監視システムを備えた円形刑務所。

考案したのは、イギリス人哲学者の
ジェレミー・ベンサムさんです。

生産性至上主義のコールセンターでは、
すでに「電子式パノプティコン」に
近い状況になっているのかもしれません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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