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ikadoku

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なぜ日本の会社は生産性が低いのか?

2019年03月15日
仕事論 0

なぜ日本の会社は生産性が低いのか? (文春新書)

満足度★★★★
付箋数:24

ずいぶん前から、日本の会社は生産性が
低いと指摘されています。

事実、日本生産性本部の調査によると、
時間当たりの労働生産性はOECD35カ国中、
日本は「20位」となっています。

トップのアイルランドやルクセンブルグの
およそ半分程度の生産性です。

生産性、生産性とうるさく言わなくても、
生活レベルはそれほど変わらないので、
別にいいんじゃないの?

そう思っている人もいるかもしれません。

しかし、生産性が低くなっていくと、
日本は確実に貧しくなっていきます。

個人の賃金水準が上がらないどころか、
いずれ下がっていくことになる。

特に日本では、医療・福祉・介護の分野で
生産性の低さが目立ちます。

また、他の生産性の高い国に比べて、
ニッチな分野において、突出した
非価格競争力をもつ企業が少ないのも
日本の特徴です。

そこで最近では「生産性を高めよう」が、
合言葉のようになっています。

しかし、本書の著者、人気エコノミストの
熊野英生さんは、それは「愚の骨頂」だと
指摘します。

なぜなら、「個人の工夫で生産性を上げる」
ことが前提になっているから。

  「筆者は本書の執筆を思い立ったとき、
  生産性に関する書籍をかき集めてみた。
  巷に溢れる書籍の多くは個人のスキル
  アップの指南書だった。
  これらはそれなりに役立つのだろうが、
  いくら個人が頑張っても、企業組織や
  チームの生産性は、全体の機能や
  ビジネスモデルが変わらなければ、
  大きく向上することはない。
  個人の仕事術を無数に積み上げても、
  集団的な生産性向上は難しいからだ。」

もちろん個人の生産性も上げるべきですが、
それだけでは問題の本質的なところは
解決しないというのが熊野さんの考えです。

そして、部下を持たない上級管理職が増え、
一人だけでする仕事が増えている現状で、
生産性向上を求められるのは、「旧日本軍」
に近い体質だと指摘しています。

熊野さんは、野中郁次郎さんらの名著
失敗の本質―日本軍の組織論的研究
から次の文の引用しています。

  「日本軍はある意味において、
  たえず自己超越を強いた組織であった。
  それは、主体的というよりは、そうせざる
  をえないように追い込まれた結果である
  ことが多かった。
  往々にして、その自己超越は、
  合理性を超えた精神主義に求められた。」

旧日本軍は失敗しているので、
その教訓から、旧日本軍がやった
逆を目指せばいいとの結論に至っています。

つまり目指すべき戦略は、「物量重視」で、
「持久戦志向」で、「判断の柔軟性」を
持つこと。

実際に今の日本の職場が、どの程度まで
旧日本軍に近いかはわかりませんが、
「働き方改革」に漂う不条理さを考えると、
熊野さんの説には説得力を感じます。

では、個人の頑張りだけに頼らずに、
生産性を上げるにはどうしたらいいのか?

本書では、次の3つの要因を掘り下げます。

  1. チームワークと協業のメリット
  2. 働く目線の高さ
  3. 職業への忠誠心と利他的行動

この中で3番の「忠誠心と利他的行動」が
生産性の向上につながるという考察は、
斬新でしたが、納得できる内容でした。

個人の生産性を最大化しても、必ずしも
組織全体の生産性の最大化につながらない
のは、組織には「協業」が存在するから。

その協業で成果を上げるために必要なのが
「利他的行動」に尽くすことなのです。

最近では、生産性向上を謳うビジネス書は
多くなりましたが、本書はその中でも、
独自の視点を持った、面白い本でした。

この本から何を活かすか?

熊野さんは、成果主義には限界があるとし、
メンバーが個人の利益ではなく、
もっと大きな目的を見出すべきと考えます。

そのため、サン・テグジュペリさんの
次の言葉を紹介しています。

  「船をつくろうとするなら、男たちに
  木材を集めさせたり、仕事や労働を
  割り当てて命令するなりするのでではなく、
  代わりに果てしなく広大な海への憧憬を
  伝えるといい」

これは、私の好きな名言の1つです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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