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日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義


日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義

満足度★★★★★
付箋数:29

これまでもデービッド・アトキンソンさんの
デービッド・アトキンソン 新・観光立国論
などでは、非常に斬新な指摘がありました。

しかし、本書はそれら過去の著作を超えて、
アトキンソンさんの最高傑作と言える
本だと思いました。

私は、本書を読んで、何度、目から鱗が
鱗落ちたかわかりません。

  「日本には今、大きなパラダイムシフトが
  訪れています。(中略)
  パラダイムシフトの原因は、人口減少と
  高齢化です。日本では、こらから、人類史上
  いまだかつてない急激なスピードと規模で、
  人口減少と高齢化が進みます。」

さすがに、ほとんどの日本人はこの2つの
問題が訪れていることは知っています。

しかし、その深刻度はあまり認識されて
いないように感じます。

実際、どの程度、日本の人口は減るのか?

2060年までに、世界全体で人口は36.1%
「増加」すると予測されています。

アメリカは25.2%増、日本を除くG7でも、
14.9%の増加です。

これに対して日本の人口は、驚くべきことに、
「32.1%の減少」です。

しかし、日本の経済モデルは今でも
人口増加モデルがベースになっています。

例えば、「いいものをより安く」は、
そもそも人口増加を前提にしないと
成り立たない経営戦略です。

では、人口減少と高齢化のパラダイムシフトに
どのように対処したらいいのでしょうか?

アトキンソンさんが本書で示した処方箋は、
「最低賃金の引き上げ」というものでした。

これだけ聞くと、なぜ?と思うかもしれません。

しかし、本書のロジックはしっかりしていて、
それを証明するデータも揃っています。

人口が少なくなっても、経済を縮小させない
ためには、高付加価値・高所得経済への
転換が必要です。

そのために避けて通れないのは、
日本人の「生産性が低い」問題です。

これは、アトキンソンさん以外の識者からも、
ずっと指摘されていることですね。

この生産性問題の原因の1つが、日本には
小さな企業が多すぎるという現実です。

実は、20人未満の企業に勤める人の割合と
その国の生産性には強い相関があるようです。

そこで、「最低賃金の引き上げ」。

小さな企業のままでは賃上げはできないので、
企業の統廃合は進みます。

そして、継続的な賃上げが、生産性の向上に
つながります。

最低賃金の引き上げが望ましい理由は6つ。

 1. もっとも生産性の低い企業をターゲット
  にできる
 2. 効果は上に波及する
 3. 消費への影響が大きい
 4. 雇用を増やすことも可能
 5. 労働組合の弱体化
 6. 生産性向上を「強制」できる

最低賃金を引き上げると、失業者が増えると
懸念する人もいますが、これも誤った認識
であることが本書で示されています。

そして、最低賃金の引き上げとセットで
提言されているのが、人材育成トレーニング
の強制化です。

賃上げに見合うだけの中身も要求される
ということです。

  「まずは所得を継続的に上げることです。
  その結果、生産性が上がります。
  それには企業の規模を大きくする必要がある。
  それによって輸出もできるようになる。
  技術の普及も進む。所得が増えるから、
  税収が増える。株価も上がる。
  財政が健全化する。
  要するに、今の悪循環を好循環に変える
  ことができるのです。」

これこそが、日本が再び世界で輝くための
「勝算」です。

ただし、この勝算に乗るためには、
まずは人口減少という問題を直視する
ことから始めなくてはなりません。

アトキンソンさんが示す生存戦略は、
非常に理にかなっていて、すべての日本人に
本書を読んで欲しいと感じました。

この本から何を活かすか?

日本では「人手不足」の問題をよく聞きます。

しかし、先進国では「人手不足」という
概念はすでになくなっていると言います。

日本で言う、「人手不足」はあくまでも、
「人を安く使う今までの経済システムを
維持したい」という前提があります。

その前提で、人口が減るから人が足りない
と言っているに過ぎないのです。

人が足りないなら、人を効果的に使う
仕組みを作ればいいと、アトキンソンさんは
指摘しています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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