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ikadoku

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残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?

2019年02月13日
組織・社内教育・コーチング 0

残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)

満足度★★★
付箋数:23

あなたの会社の「働き方改革」には、
「やらされムード」は漂っていませんか?

現在、日本の多くの企業が取り組んでいる
「働き方改革」ですが、成功したという話を
あまり聞きません。

それは表面的な取り組みは行うものの、
長時間労働を生み出している根本的原因に
対処せずに、労働時間だけを減らそうと
しているから。

このままでは、「現場への無茶ぶり」や
「管理職への労働強化」が多発してしまい、
「働き方改革」には、絶望しかないという
職場も少なくありません。

こうした日本における長時間労働の問題の
メカニズムを解明し、解決策を提示するのが、
本書のタイトルになっている「残業学」です。

残業に関しては、従来、経済学、心理学、
経営学、歴史社会学など各学問領域毎で
研究されてきました。

しかし、本書が講義を行う「残業学」では、
そうしたアカディミズムの壁を飛び越え、
データやエビデンスに基づいて分析し、
解決策を提示します。

著者は立教大学経営学部教授の中原淳さん。

本書では、中原さんとパーソル総合研究所が、
共同で取り組む「希望の残業学」プロジェクト
をベースに、講義形式で説明します。

長時間労働は、会社組織の構造的な問題に
メスを入れなければなりませんが、
個人の心理的な面にも問題があります。

それは「残業麻痺」という問題です。

残業麻痺してしまうと、長時間労働によって、
健康リスクが高まりつつも、一方で主観的な
「幸福感」が高まってしまう人もいます。

残業で、精神的にはフロー状態になり、
努力することが、成長実感を得ているような
錯覚を起こしてしまうからです。

しかし、本書では、個人が感じるほど、
残業は成長にはつながらず、むしろ成長を
阻む要因にさえなっていると指摘します。

そして、あらゆる方面から考察を重ねた結果、
次の残業削減施策を成功させるポイントを
提示します。

 1. 残業の「見える化」によって、自社の
  残業実態を把握し、施策を社内に広める
 2. 本気度を示すことで「『コミットメント』
  を高める」ことに努める
 3. 導入後1ヶ月を越えても継続することで
  「退路」を断って、やりきる
 4. 効果の「見える化」と「残業代還元」と
  いう見返りを用意することで、続ける
  モチベーションを維持してもらう

また、更に踏み込み、問題の根本解決を
図るために、生産性の高い組織への改革に
ついても言及しています。

それは「罰ゲーム化」したマネジャーを
救う、マネジメント改革でもあります。

本書で示される、残業学の知見は、
データをベースにし、様々な学問を横断して
語られているので、あまり反論の余地は
ないように感じられます。

しかし、非常に興味深い考察は多いものの、
残業「学」と付いているだけあって、
あくまで学問であり、どこか他人事のような
印象を受けました。

実際に職場の改革を進めるのは、
組織に所属する人自身なので、第三者的に
言及する方が、良いのかもしれませんね。

 第1講 残業のメリットを貪りつくした日本社会
 第2講 あなたの業界の「残業の実態」が見えてくる
 第3講 残業麻痺―残業に「幸福」を感じる人たち
 第4講 残業は集中し、感染し、遺伝する
 第5講 「残業代」がゼロでも生活できますか?
 第6講 働き方改革は、なぜ「効かない」のか?
 第7講 鍵は、「見える化」と「残業代還元」
 第8講 組織の生産性を根本から高める
 最終講 働くあなたの人生に「希望」を

この本から何を活かすか?

本書には、以下の「残業チェックリスト」が
掲載されていました。

いくつ当てはまるか、数えてみてください。

 □ 職場には、手が空いたら他のメンバーの
  仕事を手伝う雰囲気がある
 □ 職場には、一致団結して目標に向かっていく
  雰囲気がある
 □ 仕事中、時間を忘れて仕事をしている
  ことがある
 □ 仕事中、完全に集中して周りが
  気にならなくなることがある
 □ 自分の思い通りに仕事を進められて
  いると思う
 □ 自分の思った通りに仕事をコントロール
  できていると思う
 □ やりがいや働きがいをもって仕事に
  取り組んでいる
 □ 今後、現職以上に昇進するチャンスが
  あると思う
 □ この会社にずっと勤めていたいと思う
 □ 今の会社全体について総合的には
  満足している

どれも当てはまった方が良さそうな
設問に見えます。

しかし、チェックが「3つ以上」つくと、
残業麻痺になるリスクがあるようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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