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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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常識的で何か問題でも? 反文学的時代のマインドセット

満足度★★★
付箋数:21

朝日新聞が毎週発行する雑誌「AERA」。

そこに掲載される巻頭コラム「eyes」は、
900字ほどのエッセイで、4人の執筆陣が
毎週2人ずつ寄稿しています。

その4人とは、内田樹さん、姜尚中さん、
浜矩子さん、東浩紀さんです。

本書は、この4人の中で一番古くから
連載を続ける内田さんのコラムを
テーマ毎にまとめたものです。

 第1章 危機的時代の判断力とサバイバル力
 第2章 真の知的成熟とは何か
 第3章 「属国」日本とアメリカ
 第4章 地方と経済効果とお金の話
 第5章 国民国家はどこへ行くか
 第6章 情理を尽くさない政治に未来はあるか

それぞれのテーマの中で、各コラムは
時系列に並べられています。

内田さんと言えば、「思想家」という
イメージが強いですが、大学退職後は、
武道家を名乗っています。

現在は神戸に道場を建て、フルタイムで
武道に勤しみ、その合間で執筆活動を
しているようです。

しかし、「ウチダ節」と言われる、
一瞬で思考の深いところまで切り込む
言説は今も健在です。

まさに、「世相を斬る」という言葉に
ピッタリなコラムです。

本書を刊行するに当たって書かれた
「まえがき」や「あとがき」も
一般的な巻頭・巻末の言葉とは異なり、
それ自体が1つのコラムになっています。

気がつくと、いつもの内田ワールドに
引き込まれているといった感じです。

「まえがき」では、リスクを過小評価して、
最悪の事態に備えない、日本社会の病に
ついて言及しています。

「あとがき」では、政治を語ることの
是非について論じています。

簡単には始まらないし、終わるときも、
思考を巡らせてからでは終われない
という印象です。

さて、本書のコラムの中から、
いくつか気になったものを紹介します。

1つは「文系不要論」について。

国立大学から文系が消えようとしている
現状について、内田さんは次のように
コメントしています。

  「日本における高等教育の終わりが
  始まっている。」

  「これは教育行政が進めてきた
   “愚民化政策” のひとつの到達点である。
  彼らも国を滅ぼしたくてそのような政策を
  続けてきたわけではあるまい。
  だが、経済成長という短期目標を達成する
  ために “次世代の市民的成熟を支援する” 
  という教育本来の目標を放棄した人たちに
  教育を委ねることはできない。」

次に「無駄にならない思考習慣」について。

2017年12月に新幹線「のぞみ」の台車に
破断寸前の亀裂が見つかった問題に
コメントしたものです。

  「リスクヘッジというのは “最悪の事態に
  備える” ことである。それは “丁半賭博で
  丁半両方に賭ける” のに似ている。
  そのつど掛け金の半分は無駄になる。
  同じように “最悪の事態” に備えて打った
  手は、最悪の事態が起こらなければ
  すべて無駄になる。けれども、
  シスクヘッジとはそういうことである。
  そのためには、 “最悪の事態” が起こらない
  ために投じられた資源を決して無駄とは
  みなさない習慣を身につけるしかない。」

内田さんは、度々、日本企業のリスク意識の
低さについて指摘しています。

個人ではリスクに備えて必要以上の
「保険」に加入すると言われる日本人ですが、
集団だとリスク意識が欠如するようです。

この本から何を活かすか?

本書のコラムの中で、
「100年後も読まれて欲しい本」として、
内田さんは次の3冊を挙げています。

 『服従』ミッシェル・ウェルベックさん

 『プロット・アゲンスト・アメリカ
  フィリップ・ロスさん

 『1Q84』村上春樹さん

ちなみに、内田さんの「名著」の条件は
「100年後もリーダブルである」ことです。

21世紀に入ってからは、上記の3冊も含め、
この条件を満たす本はまだ存在しないと
書かれています。(2016年9月時点)

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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