新世界
付箋数:24
本書は、西野亮廣さんが高校を卒業してから、
吉本興業の養成所に入り、梶原雄太さんと
出会った頃の回想から始まります。
「独白」のような感じです。
キングコングを結成して、ガムシャラに働き、
『はねるのトびら』で注目を集めます。
そして、冠番組も持つようになり、25歳にして、
売れっ子芸人の仲間入りを果たします。
若手芸人として大成功を収めた西野さんは、
そこで、どんな景色を見たのか?
「その山を登れば景色が広がるものだと
信じて、誰よりも努力して登ってみた。
だけど、そこから見えた景色は、タモリさんや、
たけしサンや、さんまサン、ダウンタウンさん、
ナインティナインさん・・・といった先輩方の
背中だった。(中略)
その当時ボクが走っていたレールというのは、
タモリさんや、たけしサンや、さんまサン
といった先輩方が、もともと何も無かった
世界に敷いてくださったレールだ。
当然、そのレールを走ると、最終的には、
最初にレールを敷いた人の背中を押す作業
に入る。
“『踊る! さんま御殿!!』で結果を出せば
出すほど、さんまサンの寿命が伸びる”
という構図だ。」
だから西野さんは、まだ諸先輩方が足を
踏み入れていない、芸能界の「外」で勝負
することにしました。
それは、有名人が手を出しやすい飲食店や、
よくあるタレントショップではありません。
西野さんが、未開の地としてその足を
踏み入れたのは「クラウドファンディング」
と「オンラインサロン」でした。
そして、ダイレクト課金を押さえにいきます。
西野さんは、芸人としてはバッシングされ
続けてきましたが、「新世界」で挑戦を
し続けています。
それは「信用」と「情報」をベースとした
新しい世界です。
本書では、その世界を縦軸を「認知度」、
横軸を「信用度」にした、2軸のマトリックス
でポジションを明確にしています。
目指すは、認知度も高くて信用度も高い
象限で活動することです。
当然、西野さんは、その象限に入っていて、
堀江貴文さん、落合陽一さん、箕輪厚介さんも
同じ象限に入っていると分析しています。
ここで言っている「信用度」とは、
世間一般での信用度ではなく、ネットの世界で、
「嘘をつなかい」ことを言っています。
確かに、ここに名前を挙げた方々の本を
読むと、西野さんと同じニオイがしますね。
時代を牽引する「革命家」。
さすがに、そう言われるだけあって、
本書には、終始、読む人をアジテートする
言葉が並べられています。
そこが、新世界に入ることを迷っている人を
後押しして、オンラインサロンに集客している
のかもしれません。
「夢を語れば笑われて、行動すれば叩かれる。
挑戦する以上、この道は避けて通れない。
でも、大丈夫。
キミは、キミの最初の一歩を決して諦める
ことはない。
ぼくが証拠だよ。
あれだけボッコボコに殴られても、
死んでないだろ?」
正直、誰もがクラウドファンディングや
オンラインサロンを運営できるわけでは
ありませんが、本書を読むと新しい世界が
垣間見えてくると思います。
今の子どもがユーチューバーを憧れの職業に
挙げるように、間違いなく成功するための
選択肢が広がっているのです。

西野さんのファンの方にはお馴染みなのかも
知れませんが、私は本書で「しるし書店」や
「レターポット」の仕組みについて知りました。
しるし書店とは、古本屋のプラットフォーム。
信用度の高い人が、読んだ本に線を引いたり、
付箋を貼ったり、ページを折ったりすることに
付加価値をつけて古本を売る仕組みです。
レターポットとは、1文字5円で文字を購入し、
付加価値のついたメッセージを誰かに送る
サービスです。
お金を介在するので、仮想通貨の一種です。
西野さんが凄いと思うのは、アイディアだけ
でなく、これらをちゃんと実行に移している
ところだと思います。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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