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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来

満足度★★★★
付箋数:26

イーロン・マスクさんが、本気で掲げている
ことで知られている「火星移住計画」。

果たして、この計画は実現可能なのでしょうか?

移住するよりも前に、考えなくてはいけないのは、
まず有人で火星にいけるかどうかでしょう。

そういえばマット・デイモンさん主演で
映画化された『オデッセイ』は、
火星から帰還する宇宙飛行士の話でした。

原作はアンディ・ウィアーさんのSF小説
火星の人』です。

やはり、火星に行ったきりというのも
寂しいので、往復することを前提に
シュミレーションしてみましょう。

そうすると火星探査のためには次の
10のステップを踏むことになります。

 1.打上 → 2.地球軌道脱出 → 3.惑星間飛行
 → 4.火星軌道投入 → 5.着陸 → 6.打上
 → 7.火星軌道脱出 → 8.惑星間飛行
 → 9.地球軌道投入 → 10.着陸

このステップに必要な日数は、ただ往復する
だけを考えてはいけません。

火星と地球の公転のタイミングを見計らって、
火星での待ち時間が生じるからです。

地球から火星に行くのに約260日、
火星で待つこと約450日、帰りも約260日
かかるので、合計約970日、2年8ヶ月もの
日数を要するのです。

次に、この計画に必要な物資を見てみましょう。

まずは、人、食料、酸素、水が必要です。

機材は、宇宙機として基本性能を備えた母船、
火星着陸船、そして宇宙航行用のエンジンが
必要です。

無人探査機とは違い、かなり膨大な量の
物資を運ばなければなりません。

2年8ヶ月の長旅なので、宇宙船の乗員は6名は
考えておきたいところです。

本書では、この有人火星探査を「R計画」
と名付けて、本格的にかかる費用などを
本格的に試算しています。

そして、「イオンエンジン」で火星に向かう
秘策と、「宇宙基地とスペースマイニング」
の秘策によって大幅なコストダウンを考えます。

イオンエンジンは、マイクロ波を使って
生成したプラズマ状イオンを静電場で
加速・噴射することで推力を得るエンジン。

小惑星探査機「はやぶさ」に使われたことで
知られる電気推進のエンジンです。

また、もう1つのスペースマイニングとは、
宇宙で資源掘削する方法。

具体的には月や小惑星から資源を調達して、
どうしても得られない物資だけを地球から
持っていくようにします。

本書を読んでいると、火星の有人探査までは、
本当に実現できそうな印象を持ちます。

さて、本書の著者は「はやぶさ」プロジェクト
に携わり、世界初の小型イオンエンジンの
実用化に貢献した小泉宏之さんです。

2015年より東京大学大学院新領域創成科学
研究科で准教授をされている研究者の方。

現実的なロケットエンジンの実力を踏まえ、
有人と無人の両方で、本当に宇宙のどこまで
行けるかを考えます。

本書は、ギャラリーキッチンKIWIが主催する
「大人の科学バー」というイベントで
小泉さんが2015年7月から全10回に渡って
実施した講演会「ロケット編」の内容を
まとめたものです。

さすがにイオンエンジンなど推進系の
世界最小クラス開発のトップランナーだけ
あって、話がリアルです。

そして、何より素人でも簡単に理解できる
話のわかりやすさは特筆ものです。

  「華々しいロケット打上の瞬間や、
  はるか彼方の探査機から送られる神秘的な
  画像を好きなだけ観られる時代になった
  今だからこそ、地球を飛び出し宇宙を駆ける
  ことの何が難しくて、どんな工夫をしている
  のかを知ると、面白さが倍増するはずだ。
  ぜひ、本書を読んで、宇宙開発変革の時代、
  そして未開地へ進出する醍醐味を味わって
  ほしい。」

本当に、小泉さんの言うような醍醐味が
味わえるので、読んで損のない本でした。

この本から何を活かすか?

機動戦士ガンダムでは、ラグランジュ・ポイント
(ラグランジュ点)という言葉が出てきました。

ラグランジュ点とは、天体力学で円制限三体問題
の5つの平衡解のこと。

簡単に言うと、地球と月の合成重力によって、
位置関係がズレない特別な場所のことです。

本書では、このラグランジュ点に宇宙工場を
作ることを提案しています。

本当にSFの世界だったものが、現実のものに
なる可能性を感じます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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