活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

万引き依存症

2018年11月12日
心に効く本 0
満足度★★★
付箋数:21

全国万引き犯罪防止機構の調査によると、
「万引き」による被害額は1年間4500億円超。

単純に365日で割ると、1日12.3億円超が、
万引きによる被害額になります。

  「人が万引きをはじめる背景には何が
  あるのか、なぜやめられなくなるのか、
  どれだけの被害を生んでいるのか、
  どのようにすれば止められるのか。
  それらを考えるなかで、日本人が現代社会で
  抱えているさまざまな問題・・・・
  ストレスや性別役割分業、超高齢化社会、
  親子関係の問題から起きる摂食障害などが
  見えてきました。
  万引き依存症は現代人だからこそ陥る
  病理であり、だからこそ、誰ひとりとして
   “自分は絶対にならない” とは言えません。」

本書は、万引き依存症をテーマにした本。

著者は精神保健福祉士・社会福祉士の
斉藤章佳さんです。

2017年8月に刊行した『男が痴漢になる理由
が話題になった方ですね。

斉藤さんは、東京・大田区のクリニックで、
特に加害行為を繰り返すタイプの依存症の
臨床に長年携わってきました。

その経験から、依存症としの万引きについて、
盗む人たちの実態、被害を受ける側の状況、
そして家族とともに回復するための道筋を
本書で解説します。

万引きは軽い犯罪ではなく、
たくさんの被害を出す深刻な犯罪です。

本人は意識していないかもしれませんが、
れっきとした加害行為です。

そして、自分は関係ないと思っていても、
配偶者や子どもが、あるいは親が、
いつ万引き依存症になるかもしれません。

しかも、あなたが毎日購入するコンビニや
スーパーなどでは、万引きされる分の額が
見込まれて値付けされていると考えると、
まったく無関係ではいられないでしょう。

万引き依存症の人は、やめたくても
そう簡単にはやめられません。

気づいたら、お店のものを盗んでいた
ということも普通にあるようです。

万引きは、比較的、女性に多い犯罪です。

日常の中でのストレスを発散するために
盗む女性や、「節約しなきゃ」という
気持ちから始まる女性も多いようです。

また、最近では高齢者による万引きも
増えていて問題となっています。

高齢者の万引きというと、認知症だからと
いうことで片付けてしまいがちですが、
それはごく一部に過ぎません。

高齢者の万引きも、他の年代と同じく、
依存症となってしまい、やめられない人が
かなり多くいます。

高齢になって家族から孤立してしまうと、
万引きをしてしまう人が増えるようです。

依存症に陥ると、万引きが悪いことだと
わかっていてもやめられません。

また、逮捕されるのが怖くても、
盗みたい衝動を抑えられないのです。

  「 “はじめての万引き” を止めることは、
  私たちにはできません。ですが、常習化し、
  万引き依存症になってしまった人を
   “盗んでしまう自分” から “盗まない自分” 
  に変えるスキルを共に学ぶことはできます。」

私も、万引きについては考える機会が
ほとんどありませんでしたが、
もし、自分の妻が、子どもが万引きしたら
どうしようか真剣考えてしまいました。

現代病の1つである万引き依存症は、
誰もが陥る可能性のある病気として
考えておいた方がいいかもしれません。

  第1章 万引きを繰り返す人たち
  第2章 被害者が見えづらい深刻な犯罪
  第3章 なぜ女性が多いのか
  第4章 なぜやめられず、エスカレートするのか
  第5章 高齢者と摂食障害と万引き
  第6章 「万引きしない自分」に変わるために
  第7章 伊東ゆう(万引きGメン)×斉藤章佳

この本から何を活かすか?

何らかのストレスを抱えている人は、
「行為・プロセス依存」に陥る可能性が
あるようです。

万引き依存症も、この行為・プロセス依存の
1つであり、次の7つの特徴があります。

 強迫性、衝動性、反復性、貪欲性、有害性、
 自我親和性、行為のエスカレーション

本書では、万引きだけに限らず、今後は
「行為・プロセス依存」が増える傾向に
あることを指摘しています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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ikadoku
この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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