破天荒フェニックス オンデーズ再生物語
2018年10月26日
付箋数:26
もし、この本をブラインドテストで
読まされたら、純粋な経済小説として、
最高点の評価がつけられるでしょう。
時々、「この話ってフィクションなのか?」
と思ってしまうほどの、本当に破天荒で
痛快なストーリー。
読みだしたら、止まらないので要注意です。
500ページ近い本を、一気に読んでしまいたく
なるので、時間があるときに読み始めないと
日常生活に支障をきたすかもしれません。
「僕の名前は “田中修治” 、30歳。
肩まで伸びた髪の毛を金髪に近い茶色に
染め、破れたジーパンに黒いジャケットを
羽織っったスタイルをトレードマークに、
早稲田の住宅街の片隅で、数名の社員たちと、
小さなデザイン企画の会社を経営している。
この物語は、そんな流行りの若手IT社長を
気取る僕のもとに、仕事で交流のあった
ビジネス誌の編集者が、全国に60店舗を
展開する低価格メガネのチェーン店
“オンデーズ” の創業者で、会長職に
就いていた松井氏を紹介してきたところ
から始まった。」
本書は、倒産寸前だったメガネチェーン
「オンデーズ(OWNDAYS)」の企業再生の
物語です。
著者は、同社代表取締役の田中修治さんで、
1人称で語る形式で書かれています。
2008年に田中さんが買収した時点で、
オンデーズは、債務超過に陥っていて、
誰が見ても倒産は時間の問題でした。
そんなメガネチェーンを、なぜ田中さんは
周囲の反対を押し切って買収したのか?
「オンデーズにこだわる理由は『業界』だよ。
オンデーズがいるのが『メガネ業界』
だからさ。居酒屋チェーンやアパレル、
カフェ・・・どの業界にも普通はすでに
超強力なNo.1が存在しているでしょ?
例えばカフェならスターバックス、
アパレルならZARAとか。(中略)
でもメガネ業界を調べてみると『これだ』
っていう圧倒的な会社が、まだ存在して
いなかった。」
それが、田中さんがオンデーズを買収した
理由です。
2018年時点では、国内外を合わせて200店舗
以上を展開し、JINSのライバルと言われるまで
オンデーズは成長を遂げました。
ボロボロだったオンデーズは、いかにして、
起死回生の再生ができたのか?
「オンデーズという企業の再生に携わる形で
過ごした10年間。それは苦痛と苦難の連続
であり、時に人生に絶望しかけることすら
合ったものの、振り返ってみれば、
人生の中で最高にエキサイティングで、
且つかけがえのない豊かさを、
僕にもたらしてくれることになりました。
本書『破天荒フェニックス』は、僕たち
オンデーズが歩んできた、そんな10年間の
うち7年間を切り取り、起こった事実を
もとにしながらも、1つのフィクション、
パラレルワールドの物語として勝手気ままに
書き連ねたものです。」
それにしても、メガネ業界は熱くて面白い。
以前のブログ記事で、『振り切る勇気
メガネを変えるJINSの挑戦』を紹介した
こともありますが、新興勢力と老舗企業が
入り乱れる群雄割拠の状態。
特に、JINSが機能面を追求しているのに対し、
オンデーズはファッション性を追いかけます。
それは田中さんが、「メガネ業界のZARA」を
目指したからです。
これから、この業界から目が離せません。
実話をもとにした、エンターテイメント小説
と名打っているので、かなり脚色されて
いるのだと思いますが、そんな理屈を抜きに
楽しむことができ、学びがある一冊です。
とにかく、田中さんを始め、登場人物がみな
魅力的で、エネルギーがほとばしっています。
読んで絶対に損のない本、として推薦できます。
田中さんのジェットコースターに
乗っているようなエキサイティングな人生を
追体験できます。

本書は、Kindle版も出ているので、
一部だけ無料サンプルを読むことができますが、
もうちょっと読みたければ、以下の田中さんの
サイトがオススメです。
note 田中修治@OWNDAYS C.E.O
ちなみに、noteとは、文章、写真、イラスト、
音楽、映像などの作品を投稿して、
クリエイターとユーザをつなぐことができる、
新しいタイプのウェブサービスです。
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