すいません、ほぼ日の経営。
付箋数:24
日経BPの日野さんより献本いただきました。
ありがとうございます。
「この本、 “すいません経営” と
略されるのだろうか。
最初にお断りしておきますが、
この本のタイトルに “すいません” と
入っているのは、ぼくのせいです。
もともと、いろんなタイトル候補が
あったのだけれど、ここはストレートに
“ほぼ日の経営” としようではないか、
ということに話がまとまりかけて
いたのです。
ただ、やっぱり、ぼくには “これがほぼ日の
経営だ” と大上段から言えるようなものじゃ
ないという気持ちがあったのです。」
最初にこの本のタイトルを見たときに、
「何で、 “すいません” なんだろう?」
と思いました。
そう思わせておきながら、どことなく
糸井重里さんっぽい感じがします。
糸井さんは、1980年代には西武百貨店の
「不思議、大好き。」や「おいしい生活」
などの名キャッチコピー生み出し、
「コピーライター・ブーム」の火付け役
となった方です。
そんな糸井さんが1998年から始めたのが、
Webサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」でした。
このサイトのオリジナル商品として
2002年から販売開始されたのが、
今や日本を代表する手帳に成長した
「ほぼ日手帳」です。
この手帳の販売意外にもクリエイティブな
活動を行ってきた、糸井重里事務所は
社名を「株式会社ほぼ日」に変更し、
2017年3月にジャスダックに上場しました。
「ほぼ日は、どこに向かうのだろうか―。
そんな素朴な疑問から、糸井さんに取材を
申し込み、本書は始まった。
私はこれまでにもいろいろな経営者に
インタビューを重ねてきた。その経験から
言えば、クリエイティブな視点を持った
経営者はそれなりにいて、成功を収めて
いる人も多い。
一方で、クリエーター出身で企業経営に
向き合おうとしている ― 言い換えれば、
経営者の道を極めようとするクリエーター
は、実はとても少ない。」
本書は、ほぼ日社長の糸井重里さんへの
インタビューをまとめたもの。
インタビュアーとして聞き手を務めるのは、
伊藤忠ファッションシステム取締役で、
ジャーナリストとしても長年活躍している
川島蓉子さんです。
・なぜ、糸井さんは上場を目指したのか?
・どのように事業を進めているのか?
・どのように人は働いているのか?
・ほぼ日は、どのような組織なのか?
・社長として糸井さんは何を目指すのか?
川島さんは、私たちが糸井さんとほぼ日に
関して、本当に聞きたかったことを
非常に丁寧に聞いてくれています。
そこでわかったのが、糸井さんが正面から
会社の経営に取り組んでいるということ。
しかし、そこには古くからあるけれど
新しい経営の形が見えてきました。
それは社会的責任を追いながらも、
「スペック」や「情熱」による競争は避け、
クリエイティブにこだわった経営姿勢。
「大事にしてきたのは、ピーター・ドラッカー
の “企業の目的は顧客の創造である” という
姿勢であり、人々がよろこんでくれるものを
新しく生み出すこと。人をよろこばせる
ことを実現して稼ぐことで、市場の創造に
つなげる。そんな循環を目指している。」
私も多くの経営者が語る本を読んできましたが、
やはり糸井さんの考えはユニークです。
成熟した社会において、企業が目指すべき
一つの理想の姿とも考えられるので、
かなり興味深いインタビュー内容でした。
ほぼ日ファンの方はもちろんですが、
それ以外の方にも、読んで欲しい本です。

腕一本でフリーの職人としてやってきた
糸井重里さんが、チームで仕事をするようになり、
その会社は今では上場を果たしました。
それは次のような思いに至ったからです。
「50歳になるのを目前にして、すいぶん晩熟
だったとおもいますが、 “職人” のままで
やっていくことに限界を感じはじめました。
アイディアとか企画というようなものを
考えたり、文章を考えたりするプレーヤー
としての仕事も、それを実現したり伝えたり
するための “場(メディア)” があって
はじめて完成するものである、と。」
そのクリエーターが活躍できる「場」こそが
「ほぼ日」なのです。
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