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日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか

満足度★★★
付箋数:24

オトバンクの上田さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

2016年9月末、ジャーナリストの布施祐仁さんは、
自衛隊が南スーダンの国連平和維持活動(PKO)
に参加している活動記録、「日報」についての
情報公開請求を行いました。

その決定通知書が防衛省から布施さんの元に
届いたのが同年12月9日のことでした。

  「決定通知書には、想像もしていない結果が
  書かれていた。結論は、私が開示請求した
   “南スーダン派遣施設隊が現地時間で2016年
  7月7日から12日までに作成した日報” は
   “開示しないことと決定した” というもので
  あった。文書の大部分が黒塗りされる
   “海苔弁” は覚悟していたが、全面不開示は
  予測していなかった。さらにまったく想定外
  だったのは、不開示の理由である。」

防衛省からの行政文書不開示決定通知書には、
次のように記されていました。

  「本件開示請求に係る行政文書について
  存否を確認した結果、既に廃棄しており、
  保有していなかったことから、文書不存在
  につき不開示としました」

布施さんは、この理由を読んで、
驚きとともに、大きな憤りを感じましたが、
しかし、頭は冷静に回転していました。

  「え? 破棄? 直感的に、 “あり得ない”
  と思った。海外派遣という実任務の貴重な
  一次資料であり、陸自の国際活動教育隊で
   “主要教訓資料源” として活用されている
  ような自衛隊にとっても重要な日報が、
  半年も経たずに廃棄され、防衛省に存在
  しないなんて、常識的に言って考えられない。
  しかも、陸自の文書管理規則では、
  PKO関連文書の標準保存期間は三年と
  定められている。それを数ヶ月で廃棄すると
  いうのは、違法じゃないのか。それに、
  こんなに短期間で廃棄されてしまったら、
  国民は自衛隊のPKO活動について何も検証
  できないのではないか。」

布施さんは、結局、すべてが「ウソ」
なんじゃないかと考えたのです。

この陸上自衛隊PKO日報問題の顛末は、
既に多くのメディアで報道されたとおり、
廃棄したと言っていた日報が保管されていた
ことが明らかになりました。

結果として、安倍晋三首相が「将来の首相候補」
として守り続けてきた、稲田朋美防衛大臣は
引責辞任に追い込まれました。

そして、防衛省の不祥事を調査する
防衛監査本部は、南スーダンのPKOの
日報隠蔽疑惑について、防衛省・自衛隊の
幹部らが組織ぐるみで隠蔽に関与していた
とする監査結果を公表しました。

最終的に防衛省・自衛隊の最高幹部3人が
辞任するという前代未聞の事態に発展しました。

本書は、この「日報隠蔽問題」の内実に迫る
ノンフィクションです。

布施さんと、本書を共著しているのは、
朝日新聞記者で当時南アフリカ特派員だった
三浦英之さんです。

三浦さんは、「日報隠蔽問題」の舞台となった
南スーダンの真の姿をリポート。

首都ジャバで三浦さんが目撃したのは、
あまりに衝撃的な自衛隊宿営地の姿でした。

三浦さんは、南スーダンの反大統領勢力の
戦闘員が立てこもったという建物の7階テラス
から宿営地を見下ろしました。

  「目の前に広がったのは宿営地の全景。
  (中略)自衛隊員が車に乗り込んだり、
  会話をしながら道を歩いたりしているのが
  肉眼でもはっきりと見える。狙撃銃なら
  簡単に隊員の命を狙える距離だし、
  肩掛け式のロケットランチャーを
  撃ち込まれれば、間違いなく多数の死傷者が
  出ただろう。」

このような状況であるにも関わらず、
「ジュバは安定しており、武力紛争は新たに
生じておらず、紛争当事者がいるわけではない」
として、PKO活動継続を行っていました。

本書は、二人の気鋭ジャーナリストが
「日報隠蔽問題」の内側と現地から挑む、
非常に優れた調査報道ノンフィクションです。

この本から何を活かすか?

本書で考えさせられるのは、
「情報公開」の重要性です。

メディアが報道する情報を鵜呑みにせず、
私たちは、もっと情報公開制度を利用すべき
ということです。

ただし、そもそも、その文書があることを
知らなければ公開請求できないことが、
大きな課題です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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