活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT


≫ EDIT

経済成長という呪い

満足度★★★
付箋数:21

原題「Le monde est clos et le desir infini」
直訳すると「閉じた世界と無限大の欲望」。

本書は、ダニエル・コーエンさんによって、
2015年8月にフランスで刊行された本の邦訳本。

「欲望と進歩の人類史」という日本版の
サブタイトルが、内容を的確に表しています。

ダニエル・コーエンさんは、フランスを
代表する経済学者であり思想家です。

日本でも有名なトマ・ピケティさんや、
ジャック・アタリさんと並び称される方。

  「現代の宗教ともいえる経済成長は、人々の
  衝突を和らげ、無限の進歩を約束する妙薬だ。
  人々は自分にないものを欲しがる。
  そのような人々の暮らしにおけるありふれた
  惨事を解決してくれるのが経済成長だ。
  ところが残念なことに、少なくとも西洋諸国では
  経済成長は断続的にはかないものにすぎない…。
  バブル後には大恐慌、大恐慌の後にはバブルが
  発生する。政治家は、雨乞いをする呪術師の
  ように天を仰いで経済成長を願う。
  彼らは経済成長の期待を裏切ると、国民の恨みを
  買う羽目になるからだ。」

資本主義経済は、「人々の欲望」という名の
エンジンで走っています。

好況と不況の波はあるものの、人々の欲望が
ある限り、私たちの世界は経済成長はするもの
と考えられてきました。

しかし、ここに来てその大前提に疑問が
投げかけられています。

それはデジタル革命が、経済成長をもたらして
いるとは言えない状況があるからです。

果たして、経済が成長しなくなっても、
現代社会は存続することはできるのでしょうか?

サメやマグロ、カツオといった回遊魚は、
泳ぐのをやめ、止まると死んでしまう魚です。

こういった回遊魚と同じように、
経済成長し続けないと、現代社会は死んで
しまうのでしょうか?

この問に答えるために、本書では、
「人間の欲望と人類史を理解する」という
壮大な視点からのアプローチを試みます。

人類史は、それはそれで面白いのですが、
あまりに視点が壮大過ぎて、
「あれ、テーマはなんだっけ?」
と思い返さないと、何が目的だったか
わからなくなってしまうほどです。

もちろん、800万年前のヒトがこの世に
現れたところから人類史を振り返っても、
明快な答えは出てきません。

ですから、簡潔に答えの欲しい方には
もやもやした印象が残るでしょう。

映画でいうと、単純なハリウッド映画ではなく、
余韻を大事にするヨーロッパ映画のような
イメージでしょうか。

また、当たり前のことですが、コーエンさんは
フランス人なので、人類史が現代に近くなると、
フランス視点で語られています。

私たち日本人が読むと、それがボヤッとしか
わからない一因にもなっています。

私たちは、無限の欲望という「呪い」から
逃れられるのか。

こういった根源的なテーマを扱った本は、
現代社会が経済成長の踊り場にいるからこそ、
求められているのでしょう。

本書では、コーエンさんのマクロな視点と
ミクロな視点が織り交ぜられていて、
かつ、それがうまく切り替えられているので、
不思議な印象を与える本でした。

  序論 経済成長なき進歩はありうるのか
  第1部 経済成長の源泉
  第2部 未来だ、未来だ
  第3部 進歩を考察する
  結論 トライアングル地獄からの脱出と超越

この本から何を活かすか?

私が本書で意外に感じたのは、
「どうすればデンマーク人のようになれるのか」
について論じられていた点です。

デンマークがポスト工業社会へうまく移行した
例として挙げられるのは、違和感がありません。

それをフランス人が語っていることが、
私にとっては意外な点でした。

コーエンさんは、デンマーク社会を
絶賛しているので、デンマークについて
もう少し詳しく知りたいと思いました。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 経済・行動経済学 | 05:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://ikadoku.blog76.fc2.com/tb.php/3226-1adfb27b

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT