炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】
付箋数:25
毎年、新しいダイエット方法が次から次へと
登場する中で、もはや定番になった感のある
「糖質制限ダイエット」。
方法は非常に簡単で、読んで字のごとく、
糖質をできるだけ摂取しないというものです。
三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)
のうち、炭水化物だけを制限します。
基本的にタンパク質と脂質は好きなだけ食べて
いいのです。
炭水化物を制限するのは、血糖値を上げるもの
(=インスリンを分泌させるもの)を
摂取しないようにするためです。
しかも糖質制限をすると、痩せるだけでなく、
体調全般が良くなり、肌もきれいになり、
頭もスッキリするとも言われています。
ところで、なぜ、脂肪を好きなだけ食べても
太らないのでしょうか?
本当に高カロリーの脂肪が肥満の原因には
ならないのでしょうか?
「なぜ、脂肪を摂取しても太らないのか。
理由は単純で、食品中の脂肪は皮下脂肪にも
内臓脂肪にもならないからだ。
つまり、脂身たっぷりの豚バラ肉を
心ゆくまで食べても、オリーブ油を飲んでも、
その脂肪は皮下脂肪にならないのだ。
肥満とは要するに、脂肪細胞中の中性脂肪が
増え、脂肪細胞が肥大することにより起こる
現象だ。脂肪細胞に中性脂肪の蓄積を促す
ホルモンの代表格は、ご存知インスリン
であり、インスリンの分泌を促す糖質が
肥満の唯一の原因だ。」
諸悪の根源は、血糖値が上がることなのです。
さて、本書は糖質制限のノウハウを紹介した
本ではありません。
「糖質制限から見えてくる初期人類の姿」
という壮大なテーマに挑んだ本です。
著者は、「湿潤療法」のパイオニアであり、
糖質制限ダイエットの火付け役としても
知られる、医師の夏井睦さんです。
自身も糖質制限でダイエットに成功した
「糖質セイゲニスト」です。
本書は2013年10月に刊行して話題を呼んだ、
『炭水化物が人類を滅ぼす』の続編です。
糖質制限の紹介、糖質制限アンケートの分析、
前作で未解決だった問題の解明、
そして糖質制限から見えてくる初期人類の姿
の4部構成で書かれています。
ヒトはどの時点で、穀物という、栄養もなく
健康を損なうものを食物として判断したのか。
人類を糖質依存から独立させるべく、
全生命史、全人類史を読み直します。
「植物由来の依存性物質は、1万年間にわたり
ヒトの脳を虜にしてきたが、最も早い時期に
依存症を発症させたのは、1万年前から始まる
加熱デンプンであり、紀元前3000年に
古代エジプトで発明されたエチルアルコール
(ビール)がそれに続いた。」
極端な言い方をすれば、糖質はコカインや
アヘンといった依存性物質と何ら変わらず、
人類を不健康に陥れているとも見れるのです。
夏井さんが語る人類史のパートは、
かなり大胆な仮説が含まれているので、
好みが別れるところでしょう。
そもそも、糖質制限の方法を知りたくて
本書を手にした人からすると期待はずれな
内容なのかもしれません。
しかし、本書を講談社のブルーバックス系の
本だと考えると、非常に興味深く読むことが
できると思います。
「今、自分は人類の代表として糖質からの
独立戦争の最前線で戦っている」
糖質制限で、ご飯を食べることを我慢して
いるときに、このように考えると、
今までとは違った世界が見えてくるでしょう。
個人的には、非常に面白い本でした。

日本人が長寿であることから、
一般的に健康的な食事と考えられる「和食」。
しかし、夏井さんは次のように考えます。
「和食は時代遅れの不健康な食事」
なぜなら、和食はコメを中心とする食事で、
食後に大量のインスリンを分泌させるからです。
「日本は和食を食べているから長寿」というのは、
「日本は新幹線が走っているから長寿」と同じ
擬似相関に過ぎないようです。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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