絶対にミスをしない人の脳の習慣
付箋数:27
精神科医の樺沢紫苑さんは、これまで多くの
「うつ病」の患者さんと接してきました。
その経験からわかったことは、うつ病の方は、
ほぼ例外なく、その初期段階において、
「ミスが多くなる」ということです。
なぜ、ミスが多くなるかというと、
集中力を高める脳内物質が低下し、
注意力、集中力の低下が起こるからです。
ここで大事なのは、別にうつ病でなくても、
その一歩手前の脳の状態には、誰もが陥る
可能性があるということです。
それは「脳疲労」の状態。
脳が疲れていると、集中力が低下し、
正常な判断や情報処理ができなくなって、
ミスが起こるのです。
この脳疲労には、誰でも睡眠不足などで
簡単になってしまうのです。
「 “ミスをなくす本” というのは、
これまでたくさん出版されてきました。
しかし、それらの本で、 “睡眠時間を増やそう”
とか “脳疲労を回復しよう” といった、
科学的根拠に基づいた実践法を詳細に
解説したものは、ほとんどありません。
睡眠不足や脳疲労の人が、既存の
“ミスをなくす本” を読んで、どれだけ
“確認” や “机の上の整理” を実践したと
しても、ミスを減らすことは不可能なのです。
仕事のミスの根本に、注意・集中力の障害が
存在しているわけですから、その部分を治す
ことで、仕事のミスは解決できます。」
樺沢さんは、本書でミスが起こる原因を
4つに特定します。
本書では、なぜ、その原因に陥るかを
解説しながら、そうならないための
脳の「習慣術」を紹介します。
ミスの原因1 集中力の低下
集中力は、朝が一番高くて、午後、夜と
時間がたつにつれて低下する傾向があります。
これはほとんどの人に当てはまる生理的な
1日のリズムです。
また慢性的な疲労やストレスによっても、
集中力が低下することがわかっています。
ミスの原因2 ワーキングメモリの低下
テンパってミスするのは、ワーキングメモリが
不足している状態だから。
脳の作業スペースとして、通常3つのトレイが
あると考えると、3件の仕事こなすだけなら
テンパることはありません。
同時に5件の仕事をせざるを得ない状態に
遭遇すると、作業スペースが不足し、
焦りも出てきてテンパってしまうです。
ミスの原因3 脳疲労
脳疲労に陥ると、いわゆる脳内物質の分泌が
通常の状態とは異なってきます。
ノルアドレナリンは外的なストレスに対する
防御反応として分泌される脳内物質です。
本来ノルアドレナリンが分泌されると、
脳の集中力やパフォーマンスが高まりますが、
恐怖や不安の状態が長く続くとこの物質が
枯渇して分泌されなくなってしまいます。
また心身の安定や心の安らぎにも関与する
セロトニンも脳が疲れきった状態では
分泌されにくくなってしまいます。
ミスの原因4 脳の老化
「成人以降は、脳は成長しない。老化によって
機能が失われていくだけ」という考え方は、
現在の脳科学では完全に否定されています。
脳の機能が衰えていくのは、脳を使わなく
なっていくからです。
脳を使わないと、加齢と共に脳細胞は失われて
しまいますが、逆に上手に使うことによって、
シナプスの結合数を増やし、イキイキとした
状態で脳を保つことができるのです。
本書では、こうした脳の情報処理の仕方を
科学的に捉え、ミスが起こらないようにする
「仕組み」を紹介します。
もちろん、これまで言われてきたミスを減らす
一般的な方法も含まれていますが、
その原因を知ることで、納得して実践する
ことができます。
本書も樺沢さんの他の本と同様に、
買って損のない、サービス精神旺盛で
充実した内容の一冊でした。

音楽を聞くと仕事ははかどるのか?
実は、音楽を聞くと「はかどる」という
研究結果と「邪魔になる」という研究結果の
両方があるようです。
仕事の内容を含めて樺沢さんが精査すると、
以下のようにまとめられます。
「音楽は “学習” “記憶” “読解” などには
マイナスに、 “作業” “運動” にはプラスに
働きます。」
仕事の内容によって音楽をかけるかどうか
判断すると良いようですね。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
- 関連記事
-
- 一流の頭脳 (2018/04/06)
- 絶対にミスをしない人の脳の習慣 (2017/11/27)
- 脳を最適化すれば能力は2倍になる (2017/01/24)